
成功しやすいドッグフードの切り替え方【獣医師監修】
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今回は、犬のドッグフードの選び方の3つのポイントを獣医師の視点からお話しします。犬は自分の意志でドッグフードを選ぶことはできません。元気で毎日を過ごすため、きちんとした知識を持って、ドッグフードを選んであげましょう。
ドッグフードの選び方でまずはじめにお伝えするべきことは、パッケージに【総合栄養食】の記載があるものを選ぶ、ということ。健康状態に問題のない犬の主食に適したドッグフードは【総合栄養食】です。これは、ドライフードだけでなく、より水分を多く含んだモイストタイプのフードや缶詰やパウチタイプのウェットフードにも言えることです。
総合栄養食は、主食として与えることを目的に作られたペットフード。しかも、成長期、成犬期などといったライフステージにあわせて必要となる栄養の基準をクリアしていることをメーカーごとの試験で確認した場合にのみ【総合栄養食】との表記が可能となります。
きちんとしたメーカーの犬用の総合栄養食であれば、積み上げられた様々な研究結果にのっとり、子犬なら子犬用、成犬なら成犬用、そしてシニア犬ならシニア用として、 決められた量の総合栄養食と水のみを与えるだけで、必要な栄養を過不足なくとれるように作られています。
一方、ドッグフードには【間食(おやつ)】【その他の目的食】 【療法食】などと表記されているものもあります。これらは「ご褒美やおやつとして」「 嗜好性をあげて食欲をアップさせるため」 「特定の病気など治療のため」 などといったように、それぞれ目的に応じて選ぶ食べ物であり、健康状態に問題のない犬の主食に適したものではありません。
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総合栄養食の中にも、いわゆるカリカリタイプのドライフードから缶詰タイプのウェットフードまで様々なタイプのドッグフードがあります。
開封後の保存がききやすく、比較的コンパクトに保管できて便利なドライフードか、開封後の保存はきかないものの、水分補給もできて嗜好性が高いことの多いウェットフードか、好みやライフスタイルにあわせて選ぶといいでしょう。
健やかな成長と健康維持のため、犬には、年齢や成長段階にあわせたドッグフードを選びましょう。
これは、犬に必要なエネルギー(カロリー)と栄養バランスは、成長期、成犬、妊娠中、授乳期、高齢期などといった「ライフステージ」によって大きく異なるから。いくら総合栄養食を選んでいても、子犬にシニア犬用のフードを与えたり、シニア犬に子犬用のフードを与えたりするのは不適切です。特に、多頭飼いのご家庭では注意してください。
ドッグフードを選ぶときには、原材料にも注目してください。
まず、犬には消化吸収のよい良質なたんぱく質が必要です。 「チキン・ラム・ビーフ・サーモン」 といった肉類は良質な動物性たんぱく質を豊富に含みます。さらに、こうした動物由来の肉には、植物からはとれないビタミン類などもバランスよく含みます。ですから、原材料として動物由来の肉が含まれたドッグフードを選ぶとよいでしょう。また、衛生上の問題から人が食べられないような肉を使用していないことも大事なポイントとなります。ただ、残念ながら多くの場合は、パッケージの表記だけから判断するのは難しいのが現状でしょう。
一方、植物性の原材料についても大事なポイントがあります。ドッグフードの炭水化物源としては、トウモロコシや小麦が使われていることが一般的です。その一方で、穀物を使用しない「グレインフリー」や小麦由来のたんぱくであるグルテンを含まない「グルテンフリー」のドッグフードもあります。こうしたドッグフードは、アレルギー性の疾患などで食べられる穀物に制限がある場合には有効な選択肢となります。しかし、特に穀物を避けるべき理由がないのであれば、必ずしも「グレインフリー」や「グルテンフリー」のドッグフードを選ばなくてはならないというわけではありません。
そのほか、由来の明確でない原材料の記載について、詳細を知りたい場合には、メーカーに問い合わせてみるのもひとつです。
ドッグフードに含まれる添加物には、必要な栄養を必要なだけとれるようにするための栄養添加物、品質を一定に保つための品質保持の添加物など、様々な添加物が加えられています。ときには、食欲増進を狙ったフレーバーが添加されていることも。 添加物に対する考え方は様々ありますが、ドッグフードに含まれるすべての添加物が不必要で、体に悪いものとは言えません。中でも、「 酸化防止剤」は、輸送や保存を前提としているドライフードの品質を維持するためにどうしても必要となる添加物のひとつです。
ドライフードは、開封後、数日(時には1か月ほど)かけて一袋を食べきることが一般的。ドッグフードは、酸化が進むと嗜好性が低下したり、体調が悪くなるだけでなく、ビタミン類などを必要量のままで維持することが難しくなることもあります。そのため、流通・保存期間中の酸化をできるだけおさえ、品質を保つために酸化防止剤が必要となるのです。
酸化防止剤を含め、ドッグフードに使用されている添加物の量については、下記のように基準があります。
日本では、ペットフード安全法で使用上の注意が必要な添加物について、科学的知見に基づき上限値が定められております。その他の添加物に関しては、日本国内の食品添加物や飼料添加物、アメリカ・ヨーロッパで定められた食品添加物またはペットフードに使用できる飼料添加物の基準等をもとに、各メーカーでその安全性を確認して使用しています。
ペットフード協会 添加物を使用する際の基準と制限 https://petfood.or.jp/knowledge/additive/index.html
「ナチュラル」や「ネーチャー」といった表記には「化学的に合成した原材料や着色料を使用していない場合にのみ表記してよい」という決まりがあります。その一方、「オーガニック」は特定の農薬を使用していない原材料から作られていることを示すものなのですが、国内にまだ明確な基準がないのが現状です。
いずれにしても、「【ナチュラル】【ネーチャー】【オーガニック】といった記載がないと体に悪い!」などととらわれすぎる必要はないでしょう。ドッグフードを選ぶときの参考基準と考えておきましょう。
犬にとって必要な栄養素を必要なだけ、バランスよくとれるドッグフードの選び方をすることが大切なことです。主食としてのドッグフードは、しっかりと研究を重ねているメーカーの総合栄養食から選ぶことをおすすめします。
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東京大学農学部 獣医学専修を卒業後、大阪の高度獣医二次診療病院に勤務の後、渡米しミシガン州立大学、カリフォルニア大学 ディビス校にて、整形外科・再生医療の研究などに携わる。帰国後は、アメリカでの経験を活かし、神奈川県大和市にある山口獣医科病院の院長として、より良い地域医療の普及に邁進中。
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