
犬の去勢は必要なの?【獣医師監修】
オスの犬では、生後半年くらいを目安に去勢手術がすすめられます。ところが、犬の去勢は狂犬病予防注射のように飼い主の義務とし…
春は狂犬病予防接種の季節。自治体によって実施される集団接種も、そのほとんどが4月から6月に集中しています。気候もよく、お散歩やお出かけの楽しい時期。「予防接種を受けたついでにお散歩がてらどこかで遊んで帰りたいな」などとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。狂犬病予防注射を受けたあとのお散歩やドッグランはOKなのでしょうか…?シャンプーは…?今回は、狂犬病予防注射の前後に気を付けたいことについて解説します。愛犬の体調悪化をまねかないためにも、ぜひ守ってくださいね。
自治体の狂犬病予防注射は、家の近所の公園や公共の施設など、歩いて行ける場所で実施されることがあります。車に乗せて行くには近すぎる距離だけど、注射のあとに歩かせてもいいの?そんな疑問をもつ飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか。また、集合注射のついでに公園で遊ばせようかな…と考える方もいらっしゃるかもしれません。
結論から言えば、愛犬が元気であれば、注射会場や動物病院から自宅まで歩いて帰るぐらいの散歩は問題ありません。
ただし、注射をしたあとでいつもより長い距離を散歩させたり、必要以上に走らせるようなことは厳禁です。また、注射のあとに公園で遊んでから帰ったり、ドッグランで遊ばせたりはしないようにしてください。
体調を崩させないためにも、注射を受けたら普通にゆったり歩いて自宅に戻り、その日はゆっくりと安静にさせておくのが一番です。自宅でおもちゃをかじらせてあげるなど、まったりゆったりした遊びを楽しませてあげましょう。
午前の早い時間に注射を受けたのであれば、日中は自宅でゆっくり過ごし、体調に問題がないようであれば、夕方に自宅の前に少し出て外の風にあたる程度の、気分転換ならばOK。歩き回るような散歩はひかえましょう。また、愛犬がだるそうにしていたり、外に出たがらないようであれば無理に散歩させる必要はありませんし、当然ながら無理強いは禁物です。
狂犬病予防接種を受けてきた日は、たとえ体が汚れてしまって気になったとしても、シャンプーをするのはやめておきましょう。
予防接種を受けた直後は身体がとてもデリケートな状態になっています。ちょっとしたことで体調を崩してしまうかもしれません。どうしても気になる場合は、汚れた部分だけを拭き取るぐらいにとどめておいたほうが安全です。
注射をしてから2~3日が経過したあと、食欲や排便、排尿など体調に何も問題がないようなら、シャンプーをしても大丈夫です。
同様に、狂犬病予防接種を受ける直前にシャンプーをすることもやめておきましょう。特に子犬は体を濡らすことで体温が奪われてしまい、それが体調不良の原因になることは珍しいことではありません。シャンプーに慣れていない愛犬の場合は、体調が不安定になりやすいことから、予防注射をする直前のシャンプーはやめておいてほうがよいでしょう。
すべての薬剤やワクチンには、効果として期待される作用だけではなく、副作用もあります。もちろん、出来るだけ副作用が起こりにくいように考えられてはいますが、それでも副作用の可能性をゼロにすることはできません。
狂犬病の予防注射も例外ではありません。
狂犬病ワクチンは、「不活化ワクチン」といって、狂犬病ウイルスから毒性をなくし、狂犬病に対する免疫をつけるために必要な成分だけを取り出してワクチン化したものです。注射をしたからといって狂犬病に感染することはありませんが、体内に入った狂犬病予防ワクチンの成分により、体では免疫反応が起こります。これは、抵抗力をつけるために必要な反応ではありますが、副作用としてアレルギー反応が起こったり、一時的に疲れやすくなったり食欲が落ちたりすることがあるのです。そのため、注射をしたあとはいつも以上に愛犬の様子をよく見ていてあげましょう。
狂犬病予防注射を受けた当日は、顔の腫れや皮膚のかゆみ、嘔吐や食欲喪失といった症状が出ていないか、自宅で静かに見守ってあげましょう。いつもより疲れやすくなることもあります。また、体の一部を掻いていたり、どこかを気にするそぶりが見られるかもしれません。
注射をした後、愛犬の様子に気になるところがある場合は、すみやかにかかりつけの獣医師に相談してください。
万一、「アナフィラキシーショック」という全身性のアレルギー反応が出てしまった場合、気道の腫れによって呼吸困難を起こすなど、命にかかわる重篤な症状を起こすことがあります。ただし、こういった重篤なアレルギー反応は、通常はワクチン接種後の30分以内に起こることがほとんどです。そのため、ワクチン接種による副作用が心配な場合は、かかりつけの動物病院で狂犬病予防接種を受け、接種後30分ほど待合室で様子を見てから帰宅することをおすすめします。そうすることで、万が一重篤な副作用が起きた場合にもすぐに処置を受けることが可能となるからです。
狂犬病は、狂犬病ウィルスによって人間を含めたすべての哺乳類が感染する病気です。そして発病すると死亡率は100%に近いのに、治療方法はないという恐ろしい「人獣共通感染症」。「犬」という文字が入っていることで勘違いされがちですが、狂犬病は犬だけの感染症ではないのです。
そして狂犬病予防注射は、その恐ろしい狂犬病ウィルスに感染することを防ぐためのワクチン。 愛犬だけでなく、人間社会を守るためにも、必ず狂犬病予防注射を受けさせましょう。
集団接種の日程に飼い主さんの都合があわなくても、狂犬病の予防注射が受けられないわけではありません。かかりつけの動物病院で注射をしてもらうことも可能ですので、確実に接種してくださいね。
狂犬病予防注射は、「狂犬病予防法」という法律で定められている飼い主の義務です。そのため、任意で接種する伝染病予防の混合ワクチンなどとは違い、どんな犬も必ず毎年1回注射を受けなければいけません。
うちはあまり犬を外に出さないから接種しなくてもいい、などと飼い主が勝手に決めることは許されていないのです。もしも犬を飼っているのに狂犬病の予防接種を怠れば、それは法律に違反する行為。罰則の対象にもなります。
ちなみに、居住している市町村に飼い犬の登録をすることも義務付けられていますが、こちらは生涯に一度の登録です。ただし、引っ越しをした際には登録住所の変更が必要ですし、死亡した際にも届け出が必要です。
狂犬病は毎年世界中で何万人もの死者を出している恐ろしい感染症。そんな中で現在の日本では国内での狂犬病の発生はありません。それはひとえに犬の飼い主がきちんと愛犬に狂犬病予防注射を受けさせてきたから。しかし、様々な動物が海外から日本に持ち込まれている昨今、いつまた狂犬病が日本に再侵入するかわかりません。だからこそ、これからも飼い主一人一人がきちんと自覚を持ち、愛犬に狂犬病予防注射を受けさせ続けることが必要です。予防接種の日は安静の日。きちんと接種して、その日は激しいお散歩や運動はひかえて安静に過ごす日にしてあげてくださいね。
こいぬすてっぷに所属している獣医師チーム。臨床経験が豊富な獣医師により構成されています。獣医療の知識や経験を生かし、子犬育て、しつけに関わる正しい知識をわかりやすくお届けしていきます。
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