
犬が苦手なお手入れのストレスを回避する方法【獣医師監修】
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犬の「グルーミング」は、愛犬の体全体を清潔で快適な状態に保つお手入れのこと。いわば愛犬のボディケア。愛犬がどんな犬種で、そして何歳でも、私たち飼い主が愛犬のためにするべき日々のお手入れ、「グルーミング」。今回は、初心者さんのためのグルーミングの基礎知識をまとめました。
犬のグルーミングの語源である英語の“ grooming ”の意味は以下の通り。
1 髪・ひげ・からだなどを清潔に手入れすること。
出典:デジタル大辞泉
2 同種の個体間で皮膚・毛・羽毛をつくろい清掃してやる行動。ニホンザルでは個体間の社会関係の確認のために重要な役割をもつとされる。ノミとり。毛繕い。羽繕い。
私たちが愛犬のために行うグルーミングも、愛犬の体を清潔で快適な状態に保つためのお手入れ全般を指します。被毛のお手入れをイメージしがちなグルーミングですが、その他のお手入れも含めた非常に幅広い意味がグルーミングにはあるのです。
これらは、定期的に愛犬にしてあげたいグルーミング。清潔で健康な状態を維持するため、子犬からシニア犬まで、どんな犬種でも生涯にわたって必要です。
犬をグルーミングするうえで、ブラッシングは基本中の基本。抜け毛だけではなく汚れも落とすことができますし、体臭も軽減されます。そんなブラッシングは短時間でも「毎日」行いましょう。少しずつでもこまめにブラッシングしておけば、毛玉や室内の抜け毛に悩まされることも減りますよ。
ブラッシングにはマッサージ効果も期待できます。スムースコートの犬も毎日ブラッシングしてあげましょう。
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ブラッシングだけでは落としきれない体の汚れや体臭にはシャンプーが有効。月に1~2回を目安に行いましょう。
シャンプーはできるだけ短時間で済ませてあげたいグルーミング。愛犬に余計なストレスを与えないためにも、まずはしっかりブラッシングをして、シャンプー前にできるだけ汚れや抜け毛を取り除いておくことがポイントです。
犬は歯石ができやすく、歯周病にかかりやすいことが知られています。歯周病が悪化すると、歯周病の原因となっている細菌が血中に入ることで深刻な病気の元になることも。少しずつでもいいので毎日歯磨きを行うことで歯周病を防ぎ、愛犬の健康を守りましょう。
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これらは、愛犬の犬種や体質、生活環境などによって必要となるグルーミングです。あまり頻繁には行っていない愛犬の場合でも、自宅でできる健康チェックとして、状態の確認は定期的に行いましょう。病気の早期発見につながることがよくあります。
目と口の周りを毎日きれいに拭くことで、目の周りや口の周りの皮膚の炎症や、涙焼け、口の周りの被毛の着色をかなり防ぐことができます。ぬるま湯で湿らせたコットンなどを使うといいでしょう。目の周囲を拭く際には眼球に触れないよう注意してください。ティッシュペーパーを折りたたんで使う際には、角が眼球に当たらないように細心の注意を払ってください。
耳の中まで耳掃除をする必要はありませんが、耳の入り口まで出てきている汚れは拭いてあげるといいでしょう。コットンにイヤークリーナーをふくませて、そっと拭いてください。綿棒を使用するのはNGです。耳の奥の汚れが気になる場合はかかりつけの獣医師に相談してください。
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爪が長く伸びてしまうと、爪が折れてケガをしたり、転倒の原因になったりします。散歩をすることで爪が削れ、あまり伸びない犬もいますが、爪が伸びやすい犬の場合には、定期的に爪切りをしてあげましょう。フローリングなどを歩いたときにカチャカチャと爪が床にあたる音がするようになったらお手入れ時と考えましょう。
ただし、嫌がる犬の爪を無理に切ろうとするのはご法度。爪切りは難易度の高いグルーミングであるため、はじめのうちは自宅で行うことはおすすめできません。動物病院やトリミングサロンを利用することをおすすめします。
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肛門腺を自力で出すことができない犬の場合には、グルーミングの一環として肛門腺絞りを行うこともあります。慣れるまでは少々難しいので、はじめはトリミングサロンか動物病院で相談するのがよいでしょう。
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トリミングとは、バリカンやハサミなど専用の道具を使って、犬の被毛をカットして整えること。犬種によっては定期的に行う必要のあるグルーミングです。トリミングが必要な犬種の場合には、トリミングサロンでお願いするのがよいでしょう。
犬のグルーミングは、毎日の大事な習慣です。無理強いを続けて愛犬がグルーミング嫌いになってしまうと、愛犬と飼い主双方にとって大きなストレスになってしまうことも。最初から完璧にしなくても大丈夫ですので、ごほうびを上手に使いながら、無理せず少しずつ慣らしていきましょう。難しいなと感じたら、ぜひ早い段階でかかりつけの動物病院やトリミングサロンに相談してみてくださいね。
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東京大学農学部 獣医学専修を卒業後、大阪の高度獣医二次診療病院に勤務の後、渡米しミシガン州立大学、カリフォルニア大学 ディビス校にて、整形外科・再生医療の研究などに携わる。帰国後は、アメリカでの経験を活かし、神奈川県大和市にある山口獣医科病院の院長として、より良い地域医療の普及に邁進中。
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