
犬がおしっこを失敗した時にしてはいけない4つのこと【獣医師監修】
犬がおしっこを失敗した時の飼い主さんの行動は、愛犬との信頼関係や今後の愛犬との暮らしに大きく影響します。当然、トイレトレ…
「犬を叱る」というのは、非常に難しく危険なことです。誤った叱り方をしてしまうと、犬と飼い主との関係はみるみる悪化してしまいます。さらに言うと、誤った叱り方にはその場限りの効果しかなく、根本的な問題が何も解決されないままでは、同じ行為を繰り返したり、噛みつきなどのもっと深刻な問題を起こすようになるでしょう。ここでは、犬に絶対にしてはいけない叱り方、犬への上手な叱り方、また、「叱る」以外にできることについてご紹介します。
これらの行為は、正しくしつけが行えないばかりか、弊害があまりにも大きい誤った叱り方です。犬との信頼関係を損ねるだけでなく、恐怖のあまり犬が攻撃的になってしまうこともあるきわめて危険な方法。決して犬にしてはいけない叱り方なのです。
飼い主にとってしてほしくないことを犬がしたときに、ついつい叱りたくなるタイミングは必ずあると思います。でも、犬を叱ることは本来、非常に難しいこと。なぜなら、叱ること、特に誤った叱り方で犬を叱ることには、次のような弊害があるからです。
犬を叱ることには、このような困った「副作用」がたくさんあります。そのため、困った行動、やめてほしい行動に対してむやみに犬を叱るのではなく、「本当に叱るべきなのか」「叱ることで本当に問題が解決するのか」をよく考える必要があるのです。
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飼い主がしてほしくないと思っているようなことを犬がしてしまうことは、必ずあります。でも、犬を叱ることができるのは、犬を上手に褒められるようになり犬との信頼関係が確固たるものになってから。つまり、犬を心から褒めることができ、しかも、その褒められている状態を犬が心から嬉しいと感じられるようになってからなのです。愛犬にとって「飼い主=叱る人、怖い人」ではなく、「飼い主=頼れる人、大好きな人」であることは、愛犬が安心して暮らすために絶対に必要なことです。
また、犬をたくさん褒めて育てたほうが、自信に満ちたハッピーな犬になることはよく知られていること。逆に、いつもいつも叱られながら育てられた犬は、自信がなく、飼い主の顔色をうかがってばかりいるような、神経質でびくびくした犬になってしまうでしょう。
ちなみに愛犬を褒めるのが上手になると、犬はもっと褒められたい気持ちから、飼い主のしてほしい行動をとる頻度が増えていきます。結果的に、叱る必要などなくなってしまうことすらあるほどですよ。
犬と暮らす中で、犬が人にとって困った行動をしてしまうことは、ある程度は覚悟しておかなくてはなりません。とはいえ、どんな時でも穏やかにいるのは難しいですよね。「やられた!」と思ったり、イラっとしたりしたら、頭ごなしに叱るのではなく、一呼吸おいて、次のポイントをチェックしてください。
犬のしつけで大切なことは、あらかじめ叱らずにすむ環境を用意しておくこと。つまり、そもそも困った行動をとらせないように先回りして準備しておくことなのです。
逆に犬が困った行動をしてしまったときは飼い主さんの準備不足の可能性があります。甘噛みさせないためのおもちゃは用意できていますか?トイレは清潔な状態になっていますか?ストレス発散はできていますか?できるだけ気分まかせの叱り方はせずに、飼い主さんの準備不足がなかったか、一度よく考えてみましょう。
粗相など、いつもはしないような行動を犬がとってしまった場合には、もしかしたら体調不良のサインかもしれません。いきなり叱るのではなく、「どこか調子が悪いのかな?」と愛犬の様子を観察してあげるようにしてください。
愛犬にやつあたりするような叱り方をしてはいませんか?飼い主さんがイライラしているときだけでなく、睡眠不足だったり疲れていたりといった時も要注意。
犬と暮らしている中では、危険から愛犬や周囲の人を守るためや衛生上の理由などから、その場で「それはダメ!」と伝える必要のある場面は必ずでてきます。愛犬との信頼関係がきちんとできている状態で正しい叱り方をすれば、きちんと伝わるはずです。上手な叱り方でうまく伝えましょう。
家族の間で、叱るときに使う言葉をひとつ、あらかじめ決めておいてください。そして、口調と態度を一貫させることで、「ノー」という言葉に含まれる「危ないからしてはいけない、飼い主は不快に感じている」といったニュアンスを犬が理解できるようにしておきましょう。
特に不快感を伝える場合、確実に犬に伝えるために大事なことは、きっぱりと一言「ノー」とだけ言うこと。くどくど、ネチネチした叱り方は犬にはNGですよ。そして、褒め方でよく言われるのと同じで、叱り方もタイミングが命。時間がたってから叱ってもなんの意味もありません。望ましくない行動を見つけたらその瞬間に伝えましょう。
さらに、「ノー!」と叱ったらすぐ、何か簡単な指示をだすなどして、それに従えたら褒める、といった気分転換をして仲直りをするのも、犬との良好な関係を維持するコツですよ。
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犬の叱り方で大切なことは、叱りっぱなしにしないこと。次に同じ状況になったときには、先回りして飼い主がしてほしい行動へと導き、うまくやったら褒めてあげてください。どうしてほしいのかを教えないことには、何度「ノー!」いっても無駄だと考えておきましょう。
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犬を叱ることで、飼い主がしてほしくないと思う行動をとりあえずやめさせることはできるかもしれません。しかし、叱るという方法は、叱り方を間違えると大変危険ですし、弊害があまりにも多すぎます。とはいえ、褒めるだけではなかなかうまくいかないこともあるのも事実ですよね。そんな時には、叱る以外の方法を。叱るよりもずっと副作用の少ない方法がありますのでご紹介します。
また、ここでも大切なことは、「してほしくないこと」をやめさせるだけではなく、必ず「してほしいこと」へと導くこと。次に同じシチュエーションになった時には「してほしいこと」を教え、きちんとできたら必ず心から褒めてあげるようにしてください。
これは、「犬がした行動の直後に、自分の好きなものがなくなってしまう」という罰です。おもちゃで遊んでいる最中に手に甘噛みをしたら、遊びがストップしてしまう、部屋から大好きな飼い主が出て行ってしまう、といったしつけの方法が、この「好きなものがなくなる罰」の例です。
天罰というと、なんだか怖いものを想像してしまいそうですが、そうではありません。飼い主がしたことを決して悟られないように行う間接的な「罰」です。
これは、ある行動をとったら、「誰がしたかわからないけれど、直後に嫌なことが起きた!」という状態です。「誰がしたのかわからない」のが最大のポイント。それによって、飼い主がいる、いないに関わらずその行動をやめさせることにつながるのです。ここが、副作用が多くて危険な「体罰のような、飼い主が直接犬に与える罰」や「飼い主が叱ることで何かをやめさせる方法」とは大きく異なるところです。
家具をかじることをやめさせたい場合に、かじると苦い味のする、「ビターアップル」と呼ばれる製品を使うことがありますが、これが「天罰」の例です。
犬の叱り方は難しいものです。正しい叱り方をマスターする前には、愛犬の褒め方をしっかり習得しておく必要があることを心得ておきましょう。「ごはんを催促せずに静かに待てた」「今日もトイレがうまくいった」など、日常の中で愛犬がとった何気ない行動を当たり前と思わず、細かく気づいて褒めることをぜひ、習慣にしてください。しつけとは、してはいけないことをやめさせることではなく、どう行動すればいいかを教えること。犬を叱ることで飼い主の言うことを聞かせることでは決してありません。飼い主が望む行動をとった犬を自然に褒られるようになれば、お互いに気持ちよく前向きな気持ちで暮らせるようになるはずです。愛犬との幸せな暮らしのため、ぜひ、一度犬への接し方を見直してみてくださいね。
※こいぬすてっぷは、時に大変なこともある子犬との暮らしをサポートするサービスです。一緒に子犬育てを楽しみませんか?ご興味のある方はぜひお問い合わせください。
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東京大学農学部 獣医学専修を卒業後、大阪の高度獣医二次診療病院に勤務の後、渡米しミシガン州立大学、カリフォルニア大学 ディビス校にて、整形外科・再生医療の研究などに携わる。帰国後は、アメリカでの経験を活かし、神奈川県大和市にある山口獣医科病院の院長として、より良い地域医療の普及に邁進中。
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