
犬が食べてもいい肉の種類と注意点【獣医師監修】
健康状態に問題のない犬であれば、様々な種類の肉を食べることができます。今回は、犬が食べてもいい肉の種類を、健康のために守…
鹿肉は、健康状態に問題のない犬であれば食べることのできる食材。最近では、鹿肉をはじめとした「犬用ジビエ肉」が注目されていますが、犬への鹿肉の与え方には重要な注意点があります。
健康状態に問題のない犬であれば、鹿肉を食べることはできますが、生のままで与えることは決しておすすめできません。加熱した鹿肉を与えてください。
鹿肉に限りませんが、肉類を生のまま食べることには、有害な細菌や寄生虫に感染するリスクがあります。特に人が食べることを前提としていない肉類は、人が食べる食材のように法律で決められた細かな基準やガイドラインに則った品質は保証されておらず、厳重な衛生管理もされていない可能性があります。そのため、流通過程や保管方法によっては、食中毒を起こす危険性がありますし、時には飼い主さんの健康被害につながるケースもあります
鹿肉は、食物アレルギーに配慮した食べ物の原料として活用されることがあります。しかし、鹿肉を使用していれば、絶対にアレルギーが発症しないなどということはありません。鹿肉であっても、時にはアレルギーの原因になる可能性があります。
犬が毎日必要とする栄養のすべてを鹿肉だけからとることはできません。ですから、主食に鹿肉を与えるような与え方はすすめられません。鹿肉はおやつかドッグフードのトッピングとして、時折楽しむ程度にとどめてください。
主食には「総合栄養食」と記載されたドッグフードを選ぶのが手軽で便利です。総合栄養食は、水と適量のドッグフードを与えることで必要な栄養素がバランスよくとれるように作られているからです。
小さくした鹿肉のジャーキーをおやつとして与えたり、総合栄養食に鹿肉をトッピングしたりといった与え方が、比較的取り入れやすい鹿肉の与え方。ドッグフードに混ぜる時には、鹿肉だけを食べてドッグフードをより分けて残すことがないように、小さくカットした鹿肉をドッグフードにしっかり混ぜこむのがよいでしょう。
おやつやトッピングは、1日に必要とするカロリーの10%を目安にしてください。その程度の量であれば、その分のドッグフードを減らしても、とるべき栄養バランスから大きく崩れることはないとされています。
総合栄養食のドッグフードのパッケージには、体重ごとにフードの一日分の量が記載されていますので、おおよそ愛犬に必要なカロリーがわかります。さらに、鹿肉のジャーキーやレトルトなどの既製品であれば、パッケージにカロリーが表示されています。こういった数値を参考に、一日食べてもよい量の目安を正しく判断しておきましょう。
鹿肉を使用した手作り食を作ることもできます。ただ、毎日の食事をすべて手作り食にするのは簡単ではありません。鹿肉を使った手作り食を与えたいのであれば、特別な日の一食に取り入れるほうがハードルは低いでしょう。毎日の食事でとるべき栄養バランスは総合栄養食にお任せするのが手軽で安心です。
これは、栄養バランスの偏りが起こらないような食事を用意するには、犬に必要な栄養素や食材についての詳しい知識を持ったうえで献立を考える必要があるから。細かな計算や計量も必要となります。目分量で適当に作った手作り食を毎日与えるような与え方は、健康を害するおそれがあるのです。
最近では、希望する食材を用いて総合栄養食の基準に則ったレシピを作成してくれるサービスもあります。鹿肉を使った手作り食を毎日与えたいときには、そういったものの利用を検討するのもひとつです。
犬に与える鹿肉は、必ず十分に加熱されている必要があります。
既製品の鹿肉を使ったおやつやフードは、加熱処理されたものを選びましょう。また、自宅で調理する場合であれば、内部まで十分に加熱してください。
鹿肉は十分に加熱し、小さくカットしたものやミンチ状のものを与えてください。犬がそのまま丸のみしてのどを詰まらせたり、消化不良を起こしたりといったことを避けるためです。
特に鹿肉のジャーキーは、噛み応えがあることがほとんど。小さく刻んで与える、目を離さないようにするなど、事故のないような与え方をしてください。
鹿肉をおやつやトッピングで与える場合、犬に必要な栄養素は総合栄養食であるドッグフードからとることを想定しています。
総合栄養食を適切な量与えているのであれば、犬に必要な塩分をはじめとしたミネラルはすでに十分にとれています。ですから、鹿肉を与えるときに塩を使った味付けはしないでください。塩以外の調味料についても、犬の健康を害するおそれがあるので使用しないでください。
はじめて犬に鹿肉を与えるときは、体調の変化に気を付けましょう。ごく少量を与えるだけにとどめておくことをおすすめします。
体をかゆがったり、下痢や嘔吐をしたりといった異変が見られる場合は、動物病院を受診することをおすすめします。
なお、鹿肉はアレルギーに配慮したフードに活用されることが多いですが、「鹿肉を与えていれば、決してアレルギーが起きない」などということはありません。
持病のある犬や病気療養中の犬、投薬中の犬に鹿肉を与えるときは注意が必要です。中でも、普段療法食を食べている犬の場合は、かかりつけの獣医師への相談なしに鹿肉を与えることは決してしないでください。
注意点を守って、安心、安全に鹿肉を楽しんでみてください。
こいぬすてっぷに所属している獣医師チーム。臨床経験が豊富な獣医師により構成されています。獣医療の知識や経験を生かし、子犬育て、しつけに関わる正しい知識をわかりやすくお届けしていきます。
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