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愛犬が「アルファシンドローム(権勢症候群)かも」と思ったら【獣医師監修】

 

アルファシンドロームのもととなった狼

かつて犬の攻撃行動の原因のひとつとされてきたアルファシンドローム(権勢症候群)。実は、この考え方は、2008年に米国獣医行動学会より正式に否定する声明がだされています。犬の攻撃行動はアルファシンドローム(権勢症候群)のせいではなく、必ず犬なりの理由や原因があり、犬の気持ちや要求にあわせて対応されるべきなのです。ここでは、これまで犬の攻撃行動の原因とされてきたアルファシンドローム(権勢症候群)について、また、愛犬の行動に困った時に飼い主さんがするべきことについてご紹介します。

アルファシンドローム(権勢症候群)とは

アルファシンドローム(権勢症候群)は、犬が「自分が人より立場が上である」と誇示するために攻撃などの行動をとることを指す言葉として用いられてきました。

何かイヤなことが起こりそうになったとき、食べ物をとられそうになったとき、快適な場所をとられそうになったとき…色々な場面で家族に対して噛みつきなどの攻撃をする…その原因は、犬が家庭内で自分を上位に位置付けているからだと考えられてきたのです。

アルファシンドロームは、現在は否定されている「α理論」に基づいている

アルファシンドローム(権勢症候群)の元になっているのは、狼の群れの観察から生まれた「α理論」です。

狼の群れでは、個体間に絶対的な順位関係が存在すると考えられてきました。そして、食事、快適な寝床などの資源が競合する場面で常に優先権を持つ「α」の地位をめぐり、攻撃行動による「挑戦」を行うとされてきたのです。

しかし、これは今では明確に否定されている考え方。実際の狼の群れでは血縁、明確な順位関係はなく、支え合って暮らしていることもわかっています。

α理論で体罰を用いたトレーニングも正当化されてきた

α理論を犬と人との関係に取り入れて「犬が上位はダメ、人が上位にいるべき」とする考え方は、体罰を用いたトレーニング、しつけを正当化するのにも都合がよかった側面があります。

簡単に言うと「飼い主が常に上位に立ち、力でねじ伏せて言うことを聞かせる」というしつけ方です。「食事は飼い主が先にとる」「トイレを失敗したら、排泄物に鼻を押しつけて叱る」「飼い主が上であることをわからせるため、言うことを聞かない犬を羽交い絞めにする」などといったしつけ方を聞いたことのある方も多いかもしれません。

すでにα理論が否定されているうえに、人とともに暮らす犬にこの考え方を当てはめることには何の根拠もありません。現在では、こういった「力でねじふせる」ようなトレーニングやしつけの方法は、非科学的で根拠もなく、有害なものとして警鐘が鳴らされています。

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攻撃行動はアルファシンドローム(権勢症候群)のせいではない

犬が攻撃などの困った行動をとるときにも、このα理論を用いて、「犬が飼い主の言うことを聞かないのは、飼い主が上位にいないから」とされてきた時代がありました。いわゆる「アルファシンドローム(権勢症候群)」です。

しかし、そもそもα理論を人と犬の関係に持ち込むこと自体が、非科学的で根拠のないこと。ですから、愛犬の攻撃行動をアルファシンドローム(権勢症候群)のせいだとするのは適切とはいえません。

アルファシンドロームかもしれない…と感じたら

「犬になめられないように」「力でわからせる」「上下関係を教えなおす」は不要

犬を叱りつけ、体罰をもって「噛みつくのはいけない」と教えようとすると、おそらくその瞬間だけは、攻撃行動をやめるかもしれません。手っ取り早い方法のように思えますが、それによって犬との暮らしが明るく豊かなものになるとはいえないでしょう。おそらく犬は飼い主さんに対して恐怖心を持つことになります。そのうえ、飼い主さん以外の人に対しての攻撃は収まらないでしょうし、愛犬は飼い主さんに対して安心できる存在とは思えなくなるはずです。

かつて言われてきたような「犬が自分の方がエライと思っていて、それを誇示するために攻撃をしてくる」という考えは、現在では否定されています。犬と飼い主さんとの関係に、力や体罰による上下関係は不要なのです。必要なことは、望ましい行動をとった犬を褒めることで、次回も望ましい行動をとれるように導いてあげられるような、適切なリーダーシップなのです。

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愛犬が攻撃する理由を探して対応しよう

アルファシンドローム(権勢症候群)とするのではなく攻撃の理由を考えて対応

愛犬の行動に不安を感じ、愛犬がアルファシンドロームかもしれない…と感じたら、まずは犬の行動の理由、犬の訴えや要求を考えてそれにあわせて、ひとつひとつ丁寧に対応していきましょう。

かつて「アルファシンドローム(権勢症候群)だから」とひとくくりにされてしまったような犬の攻撃行動にも、「フードをとられたくない!」「触られたくない!」など、必ず個々の理由、愛犬からの訴えやSOSがあるはずです。

体を触られるのが苦手なのに無理やり触られることが続けば、犬は自分の身を守るために攻撃することになるでしょう。社会化が不十分で、人のことを怖い存在だと思っているのかもしれません。また、これまで体罰を受けてきた犬の場合は、恐怖心が強いあまり人の手が近づいてくるだけで先制攻撃をするようになっているケースもあります。さらには、ケガや病気でナーバスになっているのかもしれません。

犬が攻撃する原因を見極めて対応することは、「アルファシンドローム(権勢症候群)」とひとくくりにして、飼い主さんが絶対的な力を見せつけてねじふせることと比べると、はるかに根気が必要です。でも、犬と飼い主さんとの本当に穏やかな日々のためには、ひとつひとつ丁寧に正しい行動へと導くように教えていく必要があるのです。

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難しいと感じたら早めに専門家に相談を

愛犬のことが怖いと思い専門家に相談する

特定の場面で愛犬が激しく噛みつくことがあるなど、愛犬のことを怖い、と思ってしまうほど深刻な場合には、無理せずできるだけ早いタイミングで専門家に相談することを強くおすすめします。場合によっては、病気や体の痛みなど身体的な理由があるケースもありますので、まずは動物病院で相談するとよいでしょう。行動診療と呼ばれる、愛犬の困った行動へのアプローチを得意とする病院であればなおよいでしょう。行動診療科と呼ばれる専門的な治療が可能な病院への紹介を受けることもひとつですよ。

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