
子犬のしつけ、いつから始める?【獣医師監修】
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子犬の噛み癖のすべてがしつけで解決させなくてはならないわけではありません。今回は、子犬の噛み癖でしつけの必要なパターンと、その対応について。 いずれも、しつけのポイントとなるのは噛んだ後の行動ではありません。子犬が「噛む前」の行動を教えるしつけです。そうすれば、子犬の噛み癖はどんどん減っていきますよ。
こういったタイプの噛み癖は、子犬のうちにしつけを行って解決しておかなくてはなりません。しつけのポイントは、子犬が「噛む前」の行動を教えることで、噛むという行動を減らすこと。これらの噛み癖に対するしつけの方法は、後述します。
子犬は歯の生え変わり時期に、違和感から甘噛みをしたがります。いわば期間限定の噛み癖。子犬が8か月~1歳くらいになり、永久歯が生えそろえば噛み癖は解決します。
また、好奇心旺盛な子犬は、赤ちゃんがなんでも口に入れるのと同様に、噛んでものの感触を学習します。これもごく自然な行動であり、成長に必要な行動。成犬になるにつれて、収まってくる噛み癖です。
これらのタイプの噛み癖は自然に解決しますし、成長に必要な行動ですので、無理やりやめさせる必要はありません。噛んでもいいおもちゃをいくつか与えて、子犬の噛みたい気持ちを満たしましょう。
しつけで無理やりやめさせなくてもいい噛み癖だからといって、なんでも甘噛みさせていいわけではありません。噛んでもいいのは、おもちゃだけ。子犬の時期から、噛んでもいいもの、噛んではいけないものを区別しておくことは非常に大事なことです。
ポイントは、噛んではいけないものを噛んでから叱るのではなく、噛んではいけないものは最初から噛ませないこと。子犬の届く場所にスリッパなどの日用品は置かないように。また、子犬の目の前で手をヒラヒラさせるなど、甘噛みを誘う行為は厳禁です。
犬には目の前で動いているものを追いかけて噛みつくという狩猟本能が備わっています。ですから、ロープ遊びなどの遊びの中で興奮した時に、目の前を動く手や足に噛みつくのは自然なこと。とはいえ、人の手に噛みつくような噛み癖は子犬のうちに解決しておかなくてはなりません。
手や足をおもちゃにして子犬と遊ぶことはご法度です。これは子犬に「噛みついてもいいですよ」と言っているようなもの。人の体への噛みつきを誘発するような遊び方は決してしはいけません。
子犬が手にじゃれついてきたら、さりげなくおもちゃやロープでの遊びに誘導しましょう。人の手から距離の保てる、長めのロープ状のおもちゃが噛み癖のしつけにはおすすめです。
遊びの延長で噛みつく子犬の場合は、子犬が手などに噛みつく前に、遊びをストップして興奮を鎮められるようなしつけを行いましょう。
ヒートアップして、グルルルなどとうなり声を出したタイミングでピタッとおもちゃを動かす手をとめてしまってください。子犬が噛んで遊んでいたおもちゃを離して、一息落ち着けたら、遊びを再開してOKです。
遊びを切り上げるタイミングを逃して、子犬が手に噛みついてしまうことがあるかもしれませんが、噛んだことはもうしかたがありません。噛み癖のしつけで大切なのは、次は噛ませないようにすることです。
噛んだ犬を叱りつけることはしないでください。つねったり叩いたり、子犬を仰向けにして押さえつけたりといった「仕返し」などもってのほか。また、「イタタタ!」などの大きなリアクションは子犬にとって最高に楽しいもの。噛み癖を助長するのでNGです。
噛まれた時には、冷静に対応を。無言で、もしくは「痛い」と一度だけ言って、自然な動きで手を引っ込めましょう。腕を体にピタッとつけて、それ以上子犬が噛めない姿勢をとれるとさらにいいですね。 さっと立ち上がり、遊びを終了し、黙って他の部屋に行ってしまいましょう。興奮が静まり、落ち着きを取り戻したら遊びを再開してOKです。このように「噛んだら遊び続けられない」と子犬に認識させることで、次回は噛ませないようにします。
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一緒に遊びたいのに相手をしてもらえず、しまいに飼い主さんの靴下やズボンのすそに噛みついてくるのがこのパターン。こういった噛み癖のしつけでは、「噛む」以外の方法で飼い主に訴えることを覚えてもらいましょう。
かまってほしくて噛む癖のある子犬は、噛む前に子犬が何らかのサインを発しているはずです。
こういったサインを見つけたら、子犬が「噛む」という行動に出る前に、子犬が満足するまで遊んであげてください。子犬が噛む前に遊ぶことで、気持ちを満たしてしまえば噛みつくという行動には出ないはずです。さらに、これを繰り返すことで「噛まなくても遊んでもらえる」ということを理解してもらえば、「噛む」という行動に出る頻度は減っていきます。
噛まれてから、仕方がないから、と犬の言い分を聞くのはNG。犬は「噛むことで要求がかなえられた」という成功体験と認識し、次も噛むことで主張を通そうとするでしょう。
「かまないでー」と靴下やズボンを引っ張り返すのもよくありません。犬との引っ張りっこ遊びになってしまいます。これでは、子犬にとって「噛むことでかまってもらえた!」という報酬になっていますから、噛み癖は決して解決しません。
子犬をしっかりと満足させているのに、さらに何かを要求して噛まれた時には、冷静に「痛い」と一言。その後、背を向けるなどして、相手にしないようにしてください。噛むことをやめたら、ほめて遊んであげましょう。「噛んだら要求はかなわない」ということを学習すれば、噛みつくことは減り、噛み癖も解消されてきます。
ストレスや恐怖から自分を守るために噛むパターンの噛み癖のしつけには、特に慎重な対応が必要です。無理をすると飼い主と犬との関係性も悪化しますし、犬はますます激しく噛みつこうとするかもしれません。まずは子犬が何を苦手としているのかを把握しましょう。
ブラッシングしようとすると噛んだり、足を拭こうとすると噛んだりするのが「ヤメテ!」と訴えて噛む噛み癖によくあるパターン。時には、特定の場所を撫でようとすると噛むことも。そのほか、抱っこしようとしたり、リードをつけようとすると噛みつくのも、拘束されることへの恐怖心からの噛みつきと考えられます。
まずは「噛む=嫌がっている」ということを認識してください。不必要に抱っこしようとしない、撫でられるのが嫌いな場所を無理やり撫でない、などといったように、まずはできる限り噛んでしまうようなシチュエーションを避けましょう。
防衛のために噛みつく犬の場合、「噛む」という行動にいたる前の段階というものがあります。
子犬からこのような「不快!緊張する!噛むぞ!」を表すサインがでたら、すぐにその原因となる行動をストップしましょう。優しく子犬の名前を呼んで安心させてあげたり、音の出るおもちゃや好物のおやつで気をそらせるのも効果的です。
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噛むようなシチュエーションはできる限り避ける、とはいっても、歯磨きやブラッシング、抱っこやリードの装着は、生活の中で必要なしつけです。できるところから少しずつ慣らしていかなくてはなりません。
犬が苦手なことを練習するときには、無理強いは厳禁。お気に入りのおもちゃやおやつなどを与えて夢中になっている間に、少しずつ。もちろん、頑張っている子犬を褒めながら行うことも忘れずに。
すでに飼い主の手から血が出るほどの噛み方をするようになっていたり、愛犬のことを怖いと思っていたりする場合は、できるだけ早く専門家に相談を。自己流のしつけでは噛み癖の問題が解決できなかったり、状況が悪化したりといったことがよくあります。
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将来深刻な噛み癖で悩まされないようにするためにも、人の体への噛みつきは、子犬の時期から許さないようにしてください。7カ月~1歳くらいのいわゆる思春期や反抗期にあたる時期は、自分の主張や要求が強くなり、しつけに少々手を焼くことになるかもしれません。噛み癖のしつけが難しいと感じたら、早めに専門家に相談することをおすすめします。
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こいぬすてっぷに所属している獣医師チーム。臨床経験が豊富な獣医師により構成されています。獣医療の知識や経験を生かし、子犬育て、しつけに関わる正しい知識をわかりやすくお届けしていきます。
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