
子犬のはじめてのシャンプー。失敗しないためのコツ2つと手順【獣医師監修】
子犬のはじめてのシャンプーのコツは 「安全に行うこと」 と「トラウマを与えないこと」。はじめてのシャンプーで嫌な思いをし…
犬の肛門のそばには、独特の強いにおいのする分泌物を貯めている「肛門腺」または「肛門嚢」と呼ばれる袋があります。この袋の中に溜まった分泌物を絞り出してあげるお手入れが、いわゆる「肛門腺絞り」です。今回は犬の肛門腺しぼりについてのよくある疑問にお答えします。
肛門腺絞りは、定期的に必要な犬とそうでない犬とがいます。
これは、排便時に、肛門嚢に溜まった分泌物を排泄できる犬とうまく出せない犬がいるからです。自分で肛門嚢の中身を出すことができないと、肛門嚢の中ににおいの元となる分泌物がどんどん溜まっていきます。放っておくとムズムズして不快感があるだけでなく、やがて炎症を起こしたり、ひどい時には破裂してしまったりすることも。ですから、うまく自分で肛門嚢の中身を出せない犬の場合には、お手入れのひとつとして肛門腺絞りをしてあげる必要があります。
ちなみに、肛門嚢の中に溜まった分泌物の様子も犬によってさまざまです。黄緑色っぽいサラッとした液体状のものが出る犬もいれば、ニュルニュルと粘りけのある分泌物が出てくる犬もいます。
肛門腺絞りが必要となる頻度も犬によって異なります。これは、分泌液が溜まるスピードが犬によって異なるから。ペースがつかめないうちは、犬の様子を見ながら、1か月に1回くらいを目安に肛門腺絞りをするか、お尻を触って肛門嚢の中身が溜まっていないかチェックしましょう。肛門嚢の位置や溜まっている様子を知るために、何度か動物病院で指導をしてもらうとよいでしょう。
また、愛犬がお尻を地面にこすりつけたり、お尻をしきりになめたりしているようなら、肛門嚢の中身が溜まってきているのかもしれません。そろそろ肛門腺絞りをして中の分泌物を出してあげる必要があるかもしれない、と考えましょう。
もしも肛門付近がポコっと少しかたく膨れていたり、赤いただれがあったり、いつもと違う強いにおいがしたり、また、肛門まわりを触られるのを嫌がったり…といった時は、肛門嚢炎の可能性があります。無理はせず、早めに動物病院を受診してください。
肛門腺絞りを行なうときには、出てきた分泌液をすぐに拭き取れるように、拭き取り用のペーパーやウェットティッシュを用意しておきます。薄いビニールやゴムの手袋を使用してもよいでしょう。
肛門腺絞りをした時に、分泌物がピュッと飛び出して衣服についてしまうことがあります。衣服についた肛門腺分泌物のにおいは、とっても頑固。消臭スプレーが手元にあると便利です。
また、肛門腺を絞った拍子にピュッと勢いよく出てきたにおいの元が周囲に飛び散ったり、ニュルニュルーと出てきて犬のお尻周りの被毛についてなかなかとれなくなったりすることもよくあります。すぐに洗い流せるように、シャンプーの前のお風呂場で行なうと効率的ですよ。
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(1)尻尾を引っ張らないように気を付けて、根元から片手で優しく上に持ち上げる
(2)持ち上げた尻尾の位置を時計の12時と考え、肛門の左右斜め下、時計の5時と7時くらいの位置にポコっと肛門嚢のふくらみが触れるので、そこをティッシュペーパーごしに人差し指と親指の指の腹でつまむ
(3)そのまま肛門に向かって押し出すように優しく絞り上げ、出てきた分泌液をティッシュペーパーで受け止め、きれいにふき取る
※肛門腺絞りは比較的絞りやすい犬もいれば、難しい犬もいます。うまくできない場合は無理をせず、トリミングサロンや動物病院でお願いしましょう。
肛門腺絞りをするときは、パパッと短時間で済ませるようにしましょう。うまくできないようならば、日を改めるのもひとつの手です。お尻や尻尾のまわりは、本来は犬が触られることを好まない場所です。長い時間しつこく触っていると、お尻まわりを触られること自体が嫌いになり、今後のお手入れに苦労することにつながります。
また、肛門腺絞りでは、肛門嚢に溜まった分泌液がすべて出たかどうかが分かりにくいため、ついつい何度も押してしまいがちです。ある程度の量を定期的に出せればOKと考え、ほどほどで切り上げることをおすすめします。
次回の肛門腺絞りを快く受け入れてもらうためのポイントは、必ずお手入れを良い印象で終わらせること。肛門腺絞りが終わったら、ご褒美を与えてしっかりと褒めてあげるのを忘れずに!
肛門腺絞りをしている手はもちろん、しっぽを持ち上げている手にも力が入りすぎないようにしてください。
肛門嚢をギューッと力任せに強く押したり、爪を立てて絞り上げると、犬が痛みを感じますし、大変不快です。また、デリケートな肛門周囲の皮膚や肛門嚢を傷つけてしまう恐れもあります。
肛門腺絞りをすると、強いにおいのする分泌液が犬のお尻周りの被毛についてしまうことがよくあります。こびりついてしまって、なかなかとれず、いつまでもなんとなく臭っている…なんてことも。
肛門腺からの分泌液のにおいはとにかく頑固。できるだけ被毛につかないように、あらかじめお尻周りの毛をカットしておくと、お手入れがラクになりますよ。
肛門腺絞りを上手に行う自信がない、愛犬がいやがるなど、ちょっとでも難しいと感じたら決して無理をせず、獣医師や動物看護師、トリマーさんなどにまかせましょう。動物病院で診察のときに肛門腺絞りを依頼し、肛門腺絞りの位置や手順などを見せてもらうようにすると、次回から自分でチャレンジしやすくなるでしょう。
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【獣医師目線】必ず守って!愛犬と動物病院を受診する時の注意点
肛門腺からの分泌液が上手に出せない犬では定期的な肛門絞りが必要ですが、自宅でのお手入れでは決して無理をしないことが大事です。プロに依頼したり、動物病院でアドバイスを受けながら練習したりと、愛犬にあった方法で気持ちよく過ごせるようにしてあげましょう。
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こいぬすてっぷに所属している獣医師チーム。臨床経験が豊富な獣医師により構成されています。獣医療の知識や経験を生かし、子犬育て、しつけに関わる正しい知識をわかりやすくお届けしていきます。
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