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愛犬の「蚊問題」。虫よけだけで満足しないで!本当に必要な対策とは?【獣医師監修】

   2019/04/24

「蚊」といえば、たいていの人が「いやだな…」と感じる虫のひとつ。そして犬と暮らしていればなおのこと、蚊の存在は気になるものですよね。おそらくそれは蚊に刺されることでフィラリアに感染するリスクがあることをご存知だからではないでしょうか。フィラリアは、蚊が運ぶ寄生虫としてとても有名。だからこそ、蚊が飛んでいるのを見つけたら即座にやっつけてしまいたい!でも、愛犬の健康を考えると、あまり強力な殺虫剤を使うのはためらわれるような…。そこで蚊取り線香を焚いたり、ペット用の虫除けスプレーを利用したりするわけですが、残念ながらこれだけだと愛犬の健康を守るための対策としては不十分。今回は、愛犬に「蚊問題」が大切な理由と本当に必要な対策についてご紹介します。

愛犬の「蚊問題」が大切な理由とは?

犬にとってきちんとした対策が必要な蚊

犬の体は全身が被毛に覆われているため、蚊に刺されにくいと思われがち。しかしどんなに長毛の犬であろうと、鼻の周囲や耳などは比較的被毛が短めですし、お腹のあたりは被毛に加えて皮膚までが薄い場所です。つまり、蚊にねらわれやすいのはこういう部分。被毛があるから蚊には刺されない、などということはないのです。

犬は蚊に刺されても人間に比べるとかゆみが少ないといわれ、人間のように刺されたところが赤く膨らむことも、あまり一般的ではありません。赤く膨らんだとしても、実際に蚊に刺されている瞬間を目にすることというのはかなり難しいもの。そのため、実際には愛犬が蚊に刺されているにもかかわらず、刺されたことがないと思っている飼い主さんが意外なほどに多いのです。

蚊に刺されて赤く腫れて痒くなるととてもつらいですよね。犬でもそのような状態になることはあります。しかし、犬を蚊の被害から守りたい理由はそれだけではありません。犬が蚊に刺されると、痒みのような単純な症状だけでは済まされない、深刻な事態に陥る可能性があるのです。

蚊による問題で最も厄介なのはフィラリア症(犬糸状虫症)

フィラリア症(犬糸状虫症)は、蚊が媒介することによって感染します。

蚊がフィラリアに感染している犬の血を吸うことで蚊の体内にフィラリアの幼虫が入ります。その蚊がフィラリアに感染していない犬を刺すと、蚊の体内にいた幼虫が犬の体内に入り込みます。

犬がフィラリアに感染する経路

このように、フィラリアに感染している犬から感染していない犬へと広がっていくのです。犬の体内に入ったフィラリアの幼虫は、時間をかけて成長しながら血管内へと移動します。血管内に到達したフィラリアは犬の血管内でさらに成長し、やがては成虫となって心臓や肺動脈に寄生します。そして全身の血液循環や呼吸器、肝臓や腎臓といった内臓に深刻なダメージを与えてしまうのです。

感染した犬が若くて体力があり、なおかつ呼吸器や心臓、内臓へのダメージが少ない段階で治療を開始できた場合であっても、フィラリアによってダメージを受けた心臓や血管を元の状態に戻すことはきわめて困難です。また、犬の体内で成虫となったフィラリアが肺動脈や心臓を障害し、さらに腎臓や肝臓の機能にまで影響が及んでいるような場合には、さらに治療は難しくなり、高い確率でその犬の命は奪われてしまいます。

このようにきわめて深刻な病気であるフィラリア症を、非常に身近にいる蚊が媒介しているということが、犬にとって重大な問題なのです。

犬が蚊に刺されるとアレルギー性の皮膚炎を起こすことも…

犬も蚊に刺された部位に痒みや腫れを起こすことがあります。ただ、その時に感じる痒みには個体差があるようで、なんともない犬もたくさんいるのも事実。その一方で、犬によっては刺された部分を激しく掻いて傷になってしまったり、犬にとってストレスの元になってしまったりすることもあります。

もしも蚊に刺されたと思われるところを犬が気にしているようなら、動物病院で診察を受け、必要に応じてお薬を処方してもらうとよいでしょう。

愛犬を蚊から守りたい!蚊に刺されにくくする方法とは?

愛犬が蚊に刺されなければフィラリアに感染することはなく、蚊を原因とする痒みに悩まされることもありません。とはいえ、日常生活の中で100%蚊を防ぐことはかなり困難です。
それでも、たとえ完全ではないにしても、愛犬が蚊に刺されにくくするための対策をしておきたいところ。ここでは、愛犬が蚊に刺されにくくするための対策をいくつかご紹介します。

愛犬の蚊対策①洋服を着せる

お散歩のときに犬に洋服を着せるだけでも、生地でカバーされた部分は蚊に刺されにくくなります。さらには洋服にペット用の虫よけスプレーなどをシュっと一吹きしておけば、蚊よけの効果がさらにアップします。

蚊対策として服を着て散歩する犬

愛犬の蚊対策②蚊忌避効果のあるノミ・マダニ対策薬を使用する

ノミ・マダニ薬の中には、蚊をよせつけない効果があるものもあります。動物病院で相談してみましょう。
なお、ノミ・マダニ対策の薬は、必ずかかりつけの動物病院で処方してもらってください。それはペット用品売場などで販売されているノミ・マダニ・蚊よけの効果をうたった商品では動物病院で処方されるものに比べると効果が弱いから。それでは充分な効果は期待できません。

蚊対策のために動物病院でノミマダニの薬を処方してもらう犬

注意!フィラリア症予防は蚊よけだけではダメ!

フィラリアは蚊が運んでいるのだから、蚊への対策を万全にしていればOK!という考えは間違いです。

蚊による被害の中で特に深刻なフィラリアへの感染。ところが、ここに紹介した蚊対策をすべて実行したとしても、普通に生活していたら、愛犬を100%蚊に刺されないようにすることは困難です。

つまり、大切な愛犬の命をフィラリア症から確実に守るためには、「たとえ蚊に刺されてしまったとしても、フィラリア症を起こさないようにする」ことが必要なのです。ですから、どんなにしっかりと蚊への対策をしたとしても、「予防薬を用いたフィラリア症予防」は必ずしなくてはなりません。

フィラリア予防と蚊の対策の両方をしている犬

現在、フィラリア症は適切な期間に月一回の予防薬を服用し続けることで、ほぼ100%防ぐことが可能です。ただし、薬を服用することで犬の体が蚊に刺されない体質になるわけではありません。実際には体内に入ってしまったフィラリアの幼虫を駆虫するための駆虫薬です。

予防しているのかと思ったら、体に入り込んだフィラリアの幼虫を駆虫している?それで本当に予防になるの!?と思われるかもしれませんが、大丈夫です。
というのも、蚊が刺した傷から犬の体内に入ったフィラリアの幼虫が血管に入るまでに約2か月を要します。つまり、フィラリアの予防薬を毎月きちんと服用し続ければ、万が一フィラリア幼虫が体内に入ったとしても、犬の血管に入り込んで病気を起こす前に駆虫できることになるのです。
このようにしてフィラリアが犬の体にダメージを与えてフィラリア症を発症することを予防していることから、「フィラリア症の予防薬」と呼ばれているのです。

蚊対策をしていてもフィラリア症予防薬を忘れずに!

犬が蚊に刺されることで引き起こされる、最も恐ろしい被害はフィラリア症です。しかし、フィラリア症にかからなかったとしても、蚊に刺されて皮膚のかゆみが起こるのも犬にとってはつらいもの。蚊の被害から愛犬の体をしっかりと守るには、「蚊に刺されないようにする対策」と「フィラリア症予防」の両方が必要。特に愛犬の命を守るという観点からは、蚊への対策だけでは絶対に不十分であることを忘れないようにしてください。愛犬の健康のために飼い主としてできる限りの対策を講じ、安心して犬との暮らしを楽しみましょう。

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