メニュー

犬がフィラリアに感染したら…症状は?治療は?治るの?【獣医師監修】

   2019/02/26

「フィラリア」。犬を飼ったことのある人であれば一度は耳にしたことがある言葉ではないでしょうか。フィラリアによって起こる病気であるフィラリア症は別名、犬糸状虫症とも呼ばれる寄生虫疾患。犬に非常に深刻な症状をもたらす心臓病でもあります。今回は犬がフィラリアに感染してしまったときに起こる症状とその治療についてご紹介します。

フィラリアとは?フィラリア症とは?

フィラリアとは、「線虫」という種類の寄生虫の一種である「犬糸状虫」のことを指します。これが犬に感染することで起こる症状を「フィラリア症」もしくは「犬糸状虫症」といいます。

このフィラリアは、成虫は20cmほどの白くて細い寄生虫。ちょうど、「そうめん」のような見た目をしています。

フィラリアはどのようにして犬に症状を引き起こすの?

フィラリアは、心臓の中や心臓と肺をつなぐ血管である肺動脈の中に寄生します。そうめんのような虫が血管内にたくさん住みついていることによって、やがてその血管がつまってしまったり、血管の壁がボロボロに傷ついたりしてしまいます。さらに心臓もその影響を受け、血液を肺や体全体に送り出すという本来の働きができなくなってしまうのです。

犬がフィラリアに感染したらすぐに症状が出るの?

犬がフィラリアに感染してから、はっきりと症状が出るまでには、数年がかかります。これがフィラリア症のおそろしいところ。
感染した時にすぐに症状が現れないため、感染していることに気づかないのです。そして、フィラリアによる症状があらわれた時には、すでに治療が難しい状態になっていることがほとんどなのです。

フィラリアに感染していたとしても症状が出ていない犬

雌のフィラリア成虫は、心臓や血管の中でミクロフィラリアと呼ばれる幼虫を産みます。
体内にミクロフィラリアを持つ犬から蚊が吸血すると、同時にミクロフィラリアは蚊の体内へと吸引されます。 蚊に吸引されたミクロフィラリアは、蚊の体内で2週間かけて犬に感染する力を持った幼虫へと成長します。そして、そのような感染力のある幼虫をもった蚊が別の犬を刺すと、その刺し傷から新たな犬の体内へとフィラリアの幼虫が侵入するのです。

犬がフィラリアに感染する経路

フィラリアは、こうして新たに感染した犬の体内で5~6か月かけて成長をしながら、最終的な住み家となる肺動脈へと移動していきます。
犬にフィラリア症の症状がはっきりと現れるのは、住みついたフィラリアによって肺動脈の壁が傷つけられてボロボロになり、その結果として血管壁が分厚くボコボコに肥厚してしまってから。フィラリアが肺動脈に寄生をはじめてから、さらに数年後のことなのです。

フィラリアに感染した犬にみられる症状は?

犬にフィラリアを運ぶ蚊

寄生しているフィラリアの数と寄生してから経過した期間によって症状は異なります。寄生したフィラリアの数が少ない場合や、ごく初期の段階では、無症状のこともあります。

これは、犬のフィラリア症の症状の多くは、フィラリアそのものによるものというより、フィラリアによって起こる肺動脈壁の損傷、そしてその結果として起こる血管壁の肥厚による影響が大きいためとされています。

フィラリアによる症状で初めに気づく症状は「咳」

フィラリアに感染してしまったことで起こる症状のうち、多くの方がはじめに気が付くものは、呼吸器の症状です。
咳が増えたり、呼吸が早くなったりといった症状が見られはじめます。

フィラリアに感染した犬の慢性期の症状は「元気がなくなる」

フィラリアによる病状が慢性的に進行していく場合、咳の次に見られる症状としては、「元気がなくなる」「運動をしたがらない」といったもの。
この段階で、既に血管や心臓には、フィラリアによるダメージは起こっています。

フィラリアに感染して元気がない犬

フィラリア症末期の症状は「急激に痩せる」「腹水が溜まる」

末期になると、フィラリアによる肺動脈や心臓への影響から、全身的な循環不全に陥ります。
むくみや腹水の貯留、さらには多臓器不全により、急激にやせ、衰弱していくような、きわめて深刻な症状となります。

最終的には死亡しまう

フィラリア症を発症した犬の肺動脈はすでに損傷とその結果として起こる肥厚が著しい状態です。一度ひどい損傷を受け、肥厚してしまった血管そのものを治療して元の状態に戻すのは極めて難しいこと。
フィラリア症を発症してしまった犬は多くの場合、最終的には循環不全により死亡してしまいます。

フィラリアに感染した犬が数日で急死してしまうことも…

まれではありますが、フィラリアに感染している犬が、突然真っ赤な尿をして、一気に状態が悪化して、数日で死亡してしまう。という恐ろしい経過をたどる場合があります。

これは、多数のフィラリアが心臓に寄生したために、心臓の弁に虫体がからまったり、さらには血管を塞いでしまったりすることで起こります。

フィラリア症の治療は?治るの?

フィラリアに感染してしまった犬の治療法は、犬の年齢や体力、また症状の進行具合によって異なります。

慢性的な経過をたどっており、犬に治療に耐えられる体力があると判断される場合には、薬を使ってミクロフィラリアを駆除し、新たな感染を防ぎながら、少しずつ成虫が寿命を迎えていなくなるのを待つこともあります。

フィラリアの症状が出て治療について相談する犬

一方、心臓や肺動脈に寄生したフィラリアによって急激に状態が悪化した犬の場合には、緊急手術として、心臓や血管内のフィラリア成虫を取り出す方法をとることもあります。この場合は、その後、まだ血管内にたどり着いていないフィラリアの幼虫を駆除するための内科治療も行わなくてはなりません。

経過が長く、症状が深刻で、積極的な治療は難しいような場合には、体内のフィラリアを駆除するため治療をすることはできません。対症療法を行いながら、自然に虫が減るのを待つことになりますが、状態を改善させるのはかなり難しいことがほとんどです。

残念ながら、治療で体内のフィラリアを駆除できたとしても、すでに傷つき、肥厚してしまった血管壁をもとに戻すことはできません。そのため、フィラリアによって損傷を受け、正常に機能することができなくなってしまった血管や心臓とは、生涯つきあっていかなくてはなりません。

深刻な症状を起こして死に至るフィラリア症は予防が最善

フィラリアに寄生されてしまったときに起こる症状の恐ろしさ、おわかりいただけたでしょうか。このフィラリア症から愛犬を守るための確実な方法があります。それはフィラリア症予防薬の投与を適切に行うこと。フィラリアから愛犬を守るための方法はこれしかありません。フィラリア症は、予防薬をしっかり投与することで予防が可能な病気。大切な愛犬に元気で長生きしてもらうために、フィラリア症の予防は必ず行いましょう。

関連記事