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犬に玉ねぎはダメ!「気を付けるべき4つのシーン」と玉ねぎ中毒についてのまとめ【獣医師監修】

 

人間が食べても害がないものでも、特定の動物にとっては有害である食べ物というものは、意外にもたくさんあるものです。例えば玉ねぎは、血液をサラサラにしてくれるなどの健康効果が期待される食材として有名ですが、同時に、犬に与えてはいけないものとしても有名です。玉ねぎ中毒の怖いところは、玉ねぎを使った料理は多岐にわたり、中には玉ねぎの存在に気が付きにくい食べ物もあるところ。意図せず犬に玉ねぎを与えてしまっていた…なんてことも。ペットにとって有害なのは、生の玉ねぎに限りません。多くの方は生の玉ねぎそのものを犬が食べないように気をつけている一方、うっかり与えた食品や拾い食いをしてしまったお料理に玉ねぎが入っていたというケースが多いのです。ここでは、愛犬を玉ねぎ中毒から守るために、特に気を付けたいシーン、万一愛犬が玉ねぎを食べてしまった時の症状や対処法をご紹介します。

犬は絶対食べてはいけない玉ねぎ

犬が玉ねぎを食べるとどうなるの?

玉ねぎには、「有機チオ硫酸化合物」と呼ばれる物質が含まれており、この物質がタマネギ中毒を引き起こす原因とされています。犬だけでなく猫やウサギ、ハムスターなどペットとしてよく飼育されている動物も、同じようにタマネギ中毒を引き起こすため注意が必要です。

玉ねぎ中毒の原因物質とされている「有機チオ硫酸化合物」は、犬の体内で酸素を運ぶ働きをしている赤血球内のヘモグロビンを酸化させ、赤血球を次々と破壊してしまうのです。
多くの場合、犬が玉ねぎを食べてから1日~数日のうちに、壊れた赤血球を含む「血色素尿」と呼ばれる真っ赤な尿をしたり、ぐったりするなどの貧血症状を起こしたりといった症状を発現し、場合によっては、死亡してしまうケースもあります。

犬が玉ねぎを口にしてしまいがちな4つのシーンとは?

玉ねぎは生だけでなく、加熱したものでも与えるのは危険です。犬に玉ねぎを与えてはいけないと注意していたのに、意図せず与えてしまった…ということも考えられます。ここでは「うっかり」で与えてしまいがちなシーンを4つご紹介します。毎日の食事シーンでこんなことがないか、チェックしてみてください。

①食事の中の玉ねぎをよけて愛犬におすそわけ…

玉ねぎ入りの料理はおすそわけしてもらえない犬

ハンバーグやお味噌汁、ギョウザ、すき焼きや牛丼の残りなどを愛犬におすそ分けにしていませんか?

玉ねぎが具材として加熱されている場合でも、どんなに小さく刻まれていたとしても、玉ねぎそのものをよけたとしても、犬が玉ねぎや玉ねぎのエキスを含む食品を食べると、玉ねぎ中毒を起こす可能性があります。

犬にとって濃い味つけでもある人の食べ物を愛犬に分け与えること自体、おすすめすることはできません。
また、玉ねぎは、長時間加熱されるなどして、ほとんど形を確認できないような状態になっているお料理も少なくありません。

やむを得ず、人のものを愛犬に食べさせる場合には、使用されている食材の確認を怠らないようにしてください。玉ねぎに限らず、ネギやニラも玉ねぎ中毒と同じ症状を起こす可能性があります。決して与えないようにしてください。

②愛犬用の手作りごはんで玉ねぎエキス入りの野菜スープを使った

玉ねぎの入っていない食材で犬の手作りご飯を作っている

愛犬の健康を考えてオリジナルフードを手づくりしている飼い主さんは多いものです。
手作りごはんで気を付けたいのが、野菜スープ。人用に作った調味前の野菜スープを愛犬用ごはんとして取り分けて、ドックフードをあまり食べない時にトッピングしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

野菜スープは、ビタミン補給などに役立ちますが、うっかり玉ねぎを使用していると大変危険です。玉ねぎ中毒のリスクは、玉ねぎそのものだけでなく、玉ねぎを使用しただし汁にもあることをしっかりと覚えておきましょう。
愛犬用の手作りごはんを作る時には、玉ねぎを一切使用しないでください。

③犬が飼い主さんの食事を拾い食いしてしまった

玉ねぎを拾い食いした犬

拾い食いをしてしまう癖がある犬の場合は、細心の注意が必要です。
飼い主さんがどんなに気をつけていても、散歩中に拾い食いしてしまったり、室内に落ちていた飼い主さんの食事の残りなどをうっかり食べてしまって玉ねぎ中毒に…、などというケースもあるのです。

拾い食いの癖をまずは治しておくことをおすすめします。
それと同時に、飼い主さんも食事は出しっぱなしにはせず、犬の届く場所に食べ物を置いておかないように注意しましょう。もちろん、床の上の食べこぼしの始末も念入りに行ってください。

④愛犬のフード作りの前に、同じまな板で玉ねぎを切った

玉ねぎを切ったあとのまな板で犬のごはんを作っている

愛犬のフードを手作りする際、人間の食事を作る時に使う同じまな板を使っているという飼い主さんが大半ではないでしょうか?愛犬のフードを作る前に、そのまな板で玉ねぎを刻んだりしていませんか?

愛犬用の手づくりごはんの食材に玉ねぎが含まれていなくても、まな板についた傷などに、玉ねぎのエキスが残っていることがあります。
まな板を共有する場合には、フードを作る前にしっかりと洗浄することを心がけましょう。愛犬のフード作り用のまな板を別に用意しておけば、そのような心配もなく便利です。

万が一、愛犬が玉ねぎを食べてしまったときは?

犬が万が一、玉ねぎを食べてしまったときはどのように対処すれば良いのでしょうか?

愛犬が玉ねぎを食べたことが分かっている場合

玉ねぎを食べたため動物病院を受診する犬

玉ねぎを食べてしまったことがわかっている場合は、すぐに動物病院へと急ぎましょう。
玉ねぎ中毒は、症状が出るまでに、1日から長い場合は3、4日程度かかることがあります。たとえ症状がその時に出ていなかったとしても、玉ねぎを食べたことがわかった時点でためらうことなく動物病院を受診してください。
その際、食べてしまったものとその量、食べた時間をできる限り正確に獣医師に伝えるようにしてください。

受診のタイミングが早ければ、中毒を起こす物質が体内へと吸収される前に、吐かせたり、胃洗浄を行うなどの処置が可能となるでしょう。

愛犬が玉ねぎを食べたことに気づいていなかった場合

犬が玉ねぎを食べてしまったことに飼い主さんが気づいておらず、症状が出てからはじめて玉ねぎ中毒かも?と疑うことになるケースも少なくありません。

玉ねぎを食べて体調の悪い犬

実際には、愛犬の元気がなくなり、真っ赤な尿をしていることで異常に気が付く、というケースがよくあります。そのほか、

  • 目の結膜(普段赤い部分)が白っぽい
  • 下痢や嘔吐
  • 食欲不振
  • フラフラしている
  • 心臓の鼓動が早くなる

といった症状が見られたり、場合によっては痙攣したりすることもあります。

こういった症状がみられるようならば、一刻を争う事態の可能性がありますので、実際に愛犬が玉ねぎを食べたのかどうかに関わらず、大至急動物病院を受診してください。

残念ながら、すでに起こってしまっている玉ねぎ中毒への特効薬はありません。
症状に対する対症療法や、体の状態を悪化させないように維持して回復を助けるための支持療法が中心となります。少しでも愛犬の様子がおかしいと感じるときは、出来るだけ早急に動物病院を受診しましょう。

愛犬が食べた玉ねぎの量は関係ない!

玉ねぎを少し打下手だけで受診する犬

玉ねぎ中毒は、死に至ることもある怖い病気です。でも、実際のところどれくらいの量を食べたら死亡してしまうのかは一概には言えません。

玉ねぎは犬の体重によって食べても大丈夫という分量が決まっているわけではありませんし、致死量がどのくらいだと言い切れるものでもないのです。

玉ねぎ中毒を起こすかどうかは、犬それぞれの個体差が大きいとされています。また、その犬自身の年齢やそのときの健康状態によっても異なり、1度目は大丈夫であったとしても、次に食べてしまった場合も同じように大丈夫だと言えるものではありません。

玉ねぎのエキスを含んだスープをほんの少し口にしたり、スプーンに玉ねぎのスープがついていたのを舐めただけでも症状が出る犬もいる以上、少しだけだからといって油断はできないのが、玉ねぎ中毒の怖さの1つであるとも言えるでしょう。
「犬には玉ねぎは与えてはいけない」この基本に忠実な姿勢こそが、愛犬の命と健康を守る秘訣です。

注意!「玉ねぎ」だけじゃない犬の玉ねぎ中毒!?

犬が玉ねぎ中毒を起こす可能性のあるネギのスープ

「玉ねぎ中毒」という名前から玉ねぎだけに注意しがちですが、玉ねぎ中毒を起こす毒性物質は、玉ねぎだけでなく、白ネギやアサツキなどを含むネギ全般、しょうがやニンニク、らっきょうなどにも含まれる成分です。したがって、これらの食材も決して犬に与えてはいけません。

最近では、ニンニクを含んだ犬用サプリメントやフードなども市販されていますが、リスクも含めてきちんと把握したうえで、信頼のおけるメーカーのものを選ぶようにしたいものです。飼い主さんのきちんとした理解と責任でもって、犬の食事や健康管理を行うことが重要です。

玉ねぎは犬には絶対与えないで!

玉ねぎの小さなかけらやエキスが出たスープなどが、大切な愛犬の命を奪ってしまうことがあるということを、飼い主さんがきちんと理解しておくことが重要です。万が一食べてしまったことが疑われる場合には、早急に動物病院を受診し、検査と必要な処置を受けることをおすすめします。大切な愛犬と長く素敵な時間を過ごすためにも、玉ねぎは犬には絶対に与えないようにしてください。

東京大学農学部 獣医学専修を卒業後、大阪の高度獣医二次診療病院に勤務の後、渡米しミシガン州立大学、カリフォルニア大学 ディビス校にて、整形外科・再生医療の研究などに携わる。帰国後は、アメリカでの経験を活かし、川村動物病院の院長として、より良い地域医療の普及に邁進中。

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