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犬にブドウは厳禁!命の危険もある、その症状とは?食べたらどうする?【獣医師監修】

   2018/10/26

「犬が食べてはいけない食べ物」として、玉ねぎやチョコレートはとても有名で、飼い主さんによる理解も進んできています。その一方、意外と知られていないのが「ブドウ」。ここ最近、ブドウを食べたことで犬が生命の危険を伴うような中毒症状を起こすことがあることが知られてきています。秋の味覚として多くの方が楽しむブドウ、また、ブドウジュースやアイスクリーム、レーズンパンのように形を変えて私たちの食卓にあがることの多いブドウですが、犬には決して与えてはいけません。今回は、犬がブドウを食べることで起こる中毒とその危険性、犬がブドウを食べたときの対処法についてご紹介します。

犬がブドウを食べると何が起こるの?

犬に中毒を起こす可能性のあるブドウ

犬がブドウを食べることで起こる症状は?

犬がブドウを食べることでおこる症状は、腎臓が機能不全に陥る「急性腎不全」によるものです。多くの場合は「嘔吐」を繰り返すことからはじまり、全身状態はみるみる悪化していきます。
中毒症状の進行に伴って最終的には、尿が全くでなくなる「無尿」と呼ばれる状態になり死亡してしまうケースもあります。

犬がブドウを食べてからどれくらいの時間で中毒症状が出るの?

多くのケースでは、犬がブドウを食べてしまってから、5-6時間ほどで「嘔吐」をはじめとした中毒症状が起こるとされています。ただし、これには個体差があり、食べてから2-3時間で症状を発現することもあるようです。
もともとの犬の健康状態などにもよりますが、腎臓の機能は徐々に低下していき、数日のうちに死亡してしまう場合もあります。

犬がブドウで中毒を起こすのはなぜ?

ブドウが犬に中毒を起こす原因の詳細については現在のところわかっていませんが、ブドウに含まれる何らかの物質が、直接、腎臓の組織を破壊してしまうことで犬が腎不全を起こすとされています。

どのくらいの量のブドウを食べると犬は中毒症状を起こすの?

犬がブドウを食べることで中毒症状を起こす量については個体差が大きいようです。そのため、ブドウが犬に中毒症状を引き起こす量は、はっきりとはわかっていません。
しかし、わずか10g(1粒程)のブドウやレーズンを食べただけで急性腎不全を起こした犬の報告も存在するため、たった1粒であっても犬にはブドウを与えないようにしてください。
特にレーズンは乾燥して小さくなっているため、気づいたらとてもたくさん食べていた…などということも起こりえます。誤って犬が食べてしまうことのないように、管理を徹底しましょう。ブドウジュースやアイスクリームももちろんNGです。

犬とブドウの関係はわかっていないことがたくさん

犬が中毒を起こす可能性があるブドウパン

現在のところ、ブドウの何が犬に腎不全を起こす原因物質なのかはわかっていませんし、ブドウが犬に腎不全を起こす量についてもわかっていません。さらに、全ての犬がブドウによって中毒を起こすわけではないなど、犬とブドウの関係にはまだまだ解明されていないことがたくさんあるのが現状です。

わかっていないことがたくさんある一方で、ブドウを食べたことで死亡してしまう犬もいる以上は、ブドウやレーズンを用いた加工食品を含め、ブドウが少しでも含まれる食べ物は決して犬には与えないようにしてください。

たとえ少量でも犬がブドウを食べたら動物病院へ!

ブドウを食べたかもしれない犬

「大量のブドウを食べさせたわけじゃないから」、「全ての犬がブドウで中毒を起こすわけではないから」、「ブドウを食べたけど、元気だし大丈夫そうだから」などといって、ブドウやレーズンを食べた犬の様子を見ているのは大変危険です。
万一、愛犬がブドウやレーズンを食べてしまったら、たとえ少量であったとしても、動物病院を受診してください。

ブドウ中毒は、犬がブドウを食べた直後に発症するわけではありません。数時間という時間をかけて、原因物質が徐々に吸収され、腎臓の組織を破壊していくことで発症するといわれています。犬がブドウを食べてしまってから、中毒症状を起こすまでには時間がかかるのです。
だからこそ、犬がブドウを食べたことに気が付いたら、たとえ症状がでていなかったとしても、動物病院を緊急受診するようにしてください。
犬がブドウやレーズンを含んだ食べ物を食べてすぐに受診することができれば、腎臓に障害を起こす可能性のある成分が犬の体内へと吸収される前に吐かせることができるかもしれません。

動物病院を受診する時には、犬がブドウを食べた量と時間をできるだけ正確に伝えられるようにメモを持参するなどしましょう。

犬がブドウを食べて受診したら動物病院では何をするの?

犬がブドウを食べてからの時間の経過にもよりますが、食べてしまったブドウやレーズンを吐かせる処置を行います。また、場合によっては麻酔をかけて胃洗浄を行うケースもあるかもしれません。同時に、血液検査や尿検査を行い、腎臓を含めた全身状態を確認します。

ブドウを食べて緊急受診した犬

すでに腎不全の症状が発現していて、嘔吐などで脱水症状が起こっているような場合は、脱水を改善させ、吸収されたブドウの有毒物質の体内での濃度を薄め、排泄を促すための点滴を行うことも考えられます。

さらに、犬がブドウを食べたことによる中毒症状は、時間とともに悪化していくことが考えられますので、慎重な経過観察が欠かせません。

腎臓へのダメージが深刻で、一刻を争うような状況であれば、点滴や積極的な薬の投与といった処置も行うでしょう。このような場合、治療には時間がかかり、入院治療が必要となることも考えられます。

ブドウは絶対に犬には食べさせないこと!

甘くておいしいブドウは犬が好んで食べてしまう可能性のある食べ物です。甘くて水分が多いので、目を離した間にブドウを一房まるまる食べていた…なんてことも十分起こりえます。また、生のブドウだけではなく、レーズンパンやブドウジュースのように加工された状態で食卓にあがることもよくあるかと思います。小さなお子さまも含め、家族全員がブドウやレーズンを含んだ食べ物を愛犬に与えないようにしておかなくてはなりませんし、拾い食いなどで誤って食べてしまうようなことも避けなくてはなりません。全ての犬に中毒が起こるわけではないとはされているものの、生命にかかわる中毒をおこす可能性がある以上は、ブドウを決して犬に食べさせないようにしてください。

東京大学農学部 獣医学専修を卒業後、大阪の高度獣医二次診療病院に勤務の後、渡米しミシガン州立大学、カリフォルニア大学 ディビス校にて、整形外科・再生医療の研究などに携わる。帰国後は、アメリカでの経験を活かし、川村動物病院の院長として、より良い地域医療の普及に邁進中。

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