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犬にチョコレートは危険!恐ろしい症状と食べた時の対処法、自己判断NGのワケとは?【獣医師監修】

   2018/09/12

人間にとってはおいしくて体に良いものでも、犬にとっては毒となる食べ物がいくつかあります。その代表が「チョコレート」。チョコレートは犬にとって大変危険なもので、誤って口にすると下痢や嘔吐などの症状を引き起こすだけでなく、最悪の場合死に至ることも。一方、チョコレートは人間にとってなじみ深いもの。食べかけのチョコレートや食べ終わった包装紙を犬の届くところに放置してはいませんか?犬がゴミ箱の中のものを出してしまう状態になってはいませんか?愛犬が誤ってチョコを食べてしまわないようにしっかりと管理することも飼い主の責任です。愛犬の命を守るため、犬がチョコレートを食べてしまったときの症状とその恐ろしさ、万一のときの対処法を知っておきましょう。

犬がチョコレートを食べてしまった時の症状は?

犬に危険な症状をおよぼすチョコレート

犬のチョコレート中毒の症状

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 落ち着きがなくなる
  • 頻尿、尿量増加
  • 痙攣
  • パンティング(はあはあする)
  • 震え
  • 不整脈など、脈がおかしくなる
  • 高体温
  • 尿失禁
  • 昏睡
  • 死亡

犬がチョコレートを食べると、多くの場合、1-4時間後にこういった症状が出るといわれています。すぐに適切な治療が行われなかった場合、時間がたってチョコレートが吸収されていくに伴って症状は悪化していき、やがて死亡してしまうこともあります。

チョコレートを食べた犬にこういった症状が出る原因は、チョコレートに含まれる「テオブロミン」という物質にあります。
テオブロミンは、中枢神経、心臓血管、腎臓、骨、筋肉に作用することで、様々な中毒症状を引き起こします。そして犬がチョコレートを食べた量によっては、数時間~24時間のうちに死亡してしまいます。

通常人間は、チョコレートを食べてもこういった中毒症状は起こしません。
しかし犬の場合は、人間と比較して、このテオブロミンへの感受性がとても高く、また、テオブロミンが代謝されて犬の体外に排出されるスピードも非常に遅いため、こういった深刻な中毒症状を引き起こしてしまうのです。

犬はどれくらいチョコレートを食べると中毒を起こすの?

チョコレートをたべないようにつながれている犬

一般的に、犬の体重1kgあたり100mg程度のテオブロミンで中毒症状が起こるとされています。
一方、チョコレート1gあたりに含まれるテオブロミンの量は次のとおりです。

  • ミルクチョコレート1.6-2.1mg
  • セミスイートチョコレートやダークチョコレート 4.6-6.5mg
  • ブラックチョコレート 14.1-15.9mg

一般的な板チョコは、1枚あたりおおよそ60g程度です。これらから、計算上は、体重5kgほどの小型犬がセミスイートのチョコレートを1枚ちょっと食べただけで、ブラックチョコレートにいたっては、たった半分食べただけで中毒量に達してしまうことになります。

しかし、この数値はあくまでおおよその参考値。
「チョコレートの中毒量」はチョコレートの種類によって異なりますので、一概には言えません。
犬に中毒を起こす原因物質であるテオブロミンの含まれている量が、チョコレートの種類によって、また、メーカーや商品によっても異なるからです。
さらに、チョコレートの種類によっては「カフェイン」が多く含まれているものもあります。カフェインは、チョコレートによって起こる中毒症状を増悪することが知られています。
そのため、犬が食べてしまったチョコレートがカフェインを多く含んだチョコレートだった場合には、上に示した中毒を起こす量よりもずっと少ない量のチョコレートしか摂取していなかったとしても、重篤な中毒症状を起こす危険性があります。

中毒量はあくまで目安。自己判断は絶対NG!

気を付けなくてはならないことはまだあります。
それは、チョコレートに対する反応には必ず個体差があるということ。つまり、この量よりずっと少ない量で中毒症状が出てしまったり、死亡してしまったりすることもありますし、逆により多く食べても問題ないケースもあるのです。

また、まだ肝臓や腎臓の機能が未成熟な子犬であった場合、肝臓や腎臓、脳などの神経系の疾患がある犬の場合などは、より少ない量で深刻な問題を引き起こすことも考えられます。

つまり、チョコレート中毒を起こすかどうかは、チョコレートを食べた量だけからは判断できません。中毒症状が出るとされている量よりもずっと少ない量のチョコレートしか口にしていない場合でも決して油断してはいけないのです。自己判断はせず、必ず病院を受診して、獣医師による診察を受けるようにしてください。

危険なのは板チョコだけではない!

症状が重篤になる可能性もあるチョコレートクッキー

板チョコのように見るからにチョコとわかるものだけではなく、チョコレートを使ったパンやアイス、チョコレートケーキにも当然ながらテオブロミンは含まれています。
ココアパウダーも、チョコレートと同じカカオ豆が原料になっているため危険です。中にはかなり高濃度のテオブロミンを含むココアパウダーもありますので、十分な注意が必要です。

チョコレートやココアパウダーは意外と様々なものに使われています。愛犬が誤って口にしてしまうことのないように、家族みんなが気をつけましょう。小さいお子さんがいるご家庭は、特にしっかりと管理する必要があります。
また、基本的に人用に準備したおやつや食べ物を犬に与えることはNGです。手づくりおやつを与えたい場合にも、きちんと愛犬用として手作りしてあげてくださいね。

犬がチョコレートを食べてしまったときの対処法は?

症状の有無にかかわらず動物病院へ

犬がチョコレートを食べたとわかったら、症状の有無にかかわらずすぐに病院に連れて行きましょう。最悪の場合死に至る可能性もあるため、自己判断は厳禁です。必ず獣医師により診察を受けてください。

このとき、食べたものがわかればパッケージや食べかけのチョコレートなどを持参しましょう。
また、嘔吐した場合は吐き出したものも持って行きます。これらは、獣医師がより的確な判断をするために必要な材料となります。

チョコレートを食べた犬の診察

自宅で吐かせようとするのは絶対NG

「食べたものを吐き出せば楽になるのでは?」と思い、自己判断で吐かせようとするのも絶対にNGです。
自宅で吐かせようとすることが犬にとって大きな負担となりかねません。
また、胃の中で溶けたチョコレートは、胃の壁にあるヒダやしわにネバネバとくっついて入り込むことが知られています。そのため、簡単に吐かせただけでは不十分であることも少なくないのです。
さらには、吐いたものを吸い込んでしまって呼吸困難を起こすなど、より深刻な事態を招く恐れもあるのです。

また、そうこうしている間にも、チョコレートに含まれるテオブロミンが体内へと吸収され、さらに症状を深刻なものにしてしまう可能性もあります。

症状がないからといって自宅で様子を見るのもNG

何も症状が出ていないし、と、しばらく自宅で様子を見ようと考える飼い主さんもいるかもしれませんが、これも非常に危険です。

チョコレートをたべてしまった犬

犬にとって、チョコレート中毒を引き起こすテオブロミンは代謝に非常に時間がかかるもので、そのままにしておくとテオブロミンが体内に長くとどまってしまいます。また、犬のテオブロミンに対する感受性は個体差があるため、たとえ食べたチョコレートの量が少なくても重篤な症状となる可能性もあります。
チョコレートを食べたとわかったらできるだけ速やかに診察を受け、チョコレートによる影響を最小限にするための処置を受ける必要があるのです。

犬のチョコレート中毒の治療法は?

チョコレート中毒を引き起こすテオブロミンに有効な解毒剤は存在しません。

そのため、まずはまだ吸収されていないチョコレートを体外に出すことが必要です。
動物病院では、胃の中に残っているチョコレートを吐かせる「催吐処置」を施したり、全身麻酔をかけて胃の中を洗浄する「胃洗浄」を行ったりします。
また、それと並行して、すでに吸収されてしまったものを体外に排出させるための治療を行います。実際には、点滴などを行うことになるでしょう。

さらに、チョコレート中毒によって起こっている下痢や嘔吐、痙攣といった症状に対する治療を行いながら、症状がおさまり、体が回復してくるのを待つことになります。

愛犬のチョコレート中毒を防ぐために

チョコレート中毒から守らなくてはならない犬

人の食べているおやつなどを愛犬に与えないようにすることは絶対に守らなくてはならないことです。
そのほか、おやつの食べこぼしを拾い食いしたり、机の上に放置していたチョコレートやゴミ箱に捨ててあった食べ残しを犬がたべてしまった…といったことがないようにしなくてはなりません。
犬にとっておいしそうな匂いのする人間の食べ物はとても魅力的。誤って食べてしまわないように、チョコレートやチョコレートを含んだ食べ物は、犬の手が決して届かない位置にきちんとしまうようにしましょう。

また、犬が誤飲や誤食をしやすいシチュエーションのひとつはお留守番。
事故を防ぐためにも、ケージでのお留守番を練習しておきたいところです。

そのうえで、万が一、犬の手の届く場所にチョコレートがあった場合にも、犬が拾い食いをしないようなしつけをしておくことも大切です。
そのほか、お腹の空いた状態が続くと犬もその場にあるものを食べたくなってしまうのは当然のこと。規則正しい食生活を維持し、ドッグフードをあげ忘れたり、量が不足したり、なんてことのないよう徹底してくださいね。

恐ろしいチョコレート中毒から愛犬を守りましょう。

チョコレートが犬にとっていかに危険なものか、おわかりいただけたと思います。愛犬がどんなに欲しがっても、決してチョコレートを食べさせてはいけませんし、誤って食べてしまうようなことも起きてはなりません。万が一、チョコレートを食べてしまった場合は、たとえどんなに少量であったとしても気づいた時点ですぐに動物病院に連絡するようにしてくださいね。大切な犬の健康と幸せを家族みんなで守りましょう。

東京大学農学部 獣医学専修を卒業後、大阪の高度獣医二次診療病院に勤務の後、渡米しミシガン州立大学、カリフォルニア大学 ディビス校にて、整形外科・再生医療の研究などに携わる。帰国後は、アメリカでの経験を活かし、川村動物病院の院長として、より良い地域医療の普及に邁進中。

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