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愛犬の生理中、散歩をしても良いの?気を付けることは何?【獣医師監修】

   2018/11/08

避妊をしていないメス犬には、年に1〜2回、外陰部から出血をする期間があります。いわゆる「生理」です。犬の生理についてはあまり詳しくない飼い主さんも多く、特に初めてメス犬を飼う人は、自分の愛犬の出血に驚いてしまう飼い主さんもいらっしゃいます。犬の生理でよくあるお悩みや不安のひとつが散歩に関するもの。愛犬の生理中に散歩をさせる場合の注意点や、そもそも生理の出血がある状態で散歩をして良いのかなど気になりますよね。生理は避妊をしていないメス犬には必ず訪れるものです。正しい知識を得て、愛犬の生理と上手に付き合いましょう。

生理中で散歩に行きたくない犬

散歩の前に要確認!犬の生理について

犬の生理は基本的に年2回、個体差はありますが、大体生後6〜10ヶ月頃から始まります。「ヒート」とも呼ばれ、避妊をしていない健康状態の良好なメス犬には必ず訪れるものです。

犬の性周期は「発情前期・発情期・発情後期・無発情期」という4つの期間で1サイクルが成り立っていて、避妊をしていないメス犬はこの4つの期間を生涯繰り返します。この4つの期間のうち、生理が続く、つまり出血が見られる期間にはかなりの個体差がありますが、多くの場合、外陰部から血や薄い血のようなものが垂れているのが見てわかる期間は「発情前期~発情期」の1-3週間ほどです。

発情前期 ~犬の生理のはじまり~

発情前期になると、陰部が腫れたように膨らみ、陰部からの出血が始まります。つまり、犬の生理がはじまる時期にあたります。

出血は色がうすかったり、自分でなめとってしまったりすることもあります。発情前期には、出血以外にも、おしっこの回数が増えたり、食欲の低下、落ち着きがなくなるなどの症状も見られます。この期間は7~10日ほど続きます。

発情期 ~生理がおわったように見える時期であり、妊娠可能期間~

発情期に入ると出血が落ち着きます。発情期に入ってから約2〜3日で排卵が起こり、その前後5日間が妊娠可能期間と言われています。

発情期で生理がある犬

発情後期

発情後期に入ると、それまで見られた愛犬の性格の変化や食欲の低下などが落ち着き、通常の状態に戻っていきます。オス犬を許容することもありません。発情後期は2か月ほど続きます。

この時期、犬の体質によって気をつけたいのが「偽妊娠」です。
基本的に哺乳類は、妊娠が成立しなかった場合、黄体ホルモンと呼ばれる女性ホルモンの分泌が止まります。しかし、犬は妊娠していない場合でも、黄体ホルモンが長期に渡って分泌されます。それにより、偽妊娠(いわゆる想像妊娠)が起こる可能性があるのです。

本来偽妊娠は自然に終わりますが、まれに母乳が出てしまう犬もいます。母乳を自分で舐めて乳腺炎になってしまう場合があるので、そのような症状が見られた場合はすぐに動物病院を受診するようにしましょう。

無発情期

卵巣が休止している期間で、発情期~発情後期以外の期間はすべて無発情期です。

この時期に外陰部から生理のような出血があるときには要注意。子宮蓄膿症など重篤で緊急性の高い病気のおそれもありますので、至急動物病院を受診しましょう。

※犬の生理と出血についてはこちらの記事でご紹介しています。
犬の生理ってどんなもの?「生理じゃない出血」は病気のサイン?【獣医師監修】

愛犬の生理中、散歩しても良い?

生理中だが散歩をしたくて外を見る犬

犬の生理は人間の生理と同様、病気ではないので、散歩をしても問題ありません。

ただし、あまりに元気がなかったり、だるそうにしている場合は無理に散歩をさせる必要はありません。散歩はお休みして、室内でゆっくり過ごさせてあげましょう。

生理中でも外に出たそうにしている場合や、運動不足と感じる場合、ストレスが溜まっていそうだったら散歩に連れて行ってあげましょう。

愛犬が生理中に散歩する時に気を付けることは何?

愛犬が生理中の時の散歩には、いくつか注意点があります。
大切なペットを守るためにも、愛犬の生理中に散歩を楽しむ場合には、飼い主がきちんと対策をしましょう。

注意点①犬の生理用パンツ(マナーパンツ)を使用して散歩する

出血の量には個体差がありますが、中にはポタポタと垂れてしまうほど出血してしまう犬もいます。散歩中に道路など公共の場を汚してしまわないよう、犬の生理用パンツを使用しましょう。

また、生理中の犬が発する性フェロモンはオス犬を刺激します。万一オス犬に遭遇した場合にそなえるという意味でも生理用パンツは必要です。

生理なので散歩用の生理用パンツを使っている犬

生理用パンツは、散歩中はもちろん屋内でも使用できます。家の中が汚れずに済むので、生理期間中はつけておくのもひとつの方法です。
ただし、犬が慣れない生理用パンツを嫌がったり、誤って食べてしまったりする可能性もあります。そうならないためにも、犬の体型に合ったものを見つけ、慣れさせておくことが大切です。また、誤食や陰部周辺がかぶれるのを防ぐため、着用している間はチェックを怠らないようにしてください。

とうしても神経質になりがちな生理中ですので、犬にとってストレスになるようならば、散歩の時以外は無理に生理用パンツをはかせて過ごすことはせず、自宅ではこまめに拭いてあげるなどして過ごしましょう。

犬の生理用パンツだとサイズが合うものがない場合は、人間の赤ちゃん用のおむつで代用する方法もあります。尻尾の部分に穴を開けて使いましょう。

ちなみに、犬の生理用パンツは防災グッズとしても必須です。生理中は散歩に行かない…という方もぜひ用意しておいてくださいね。

注意点②生理中の散歩ではオス犬に会わないように気をつける

生理中なので散歩の時間帯をずらしている犬

オス犬には発情期というものがなく、メス犬の生理中のフェロモンを感じ発情します。散歩中にオス犬に遭遇してしまうと、オス犬がメス犬を追いかけたり、交尾をしてしまったりといったケースもあります。一度交尾体制に入ってしまうと、人間の力で引き離すことはできません。また、発情しているオス犬にとって、交尾を許されないことは大きなストレスともなります。

望まない妊娠を防ぐためにも、また不要なストレスを周囲の犬に与えないためにも、散歩をする時には、可能な限りオス犬に会わないようにする工夫が必要です。

具体的には、他の犬が多い時間帯を避けて散歩をしたり、公園などの犬が集まる場所には近づかないようにしたりといった配慮をしましょう。また、他の飼い主さんとすれ違うような場合には、あらかじめ生理中であることを伝えてからすれ違うといった気遣いをするのがマナーです。

また、ドッグカフェやドッグランの利用は、たとえ生理用パンツを着用していても控えるようにしてください。

注意点③出血が終わっても油断は禁物!妊娠可能な期間はこれからです

生理が終わった犬

発情前期が終わり、出血が落ち着くと、「生理が終わったー」と、安心してしまう飼い主さんが多くいらっしゃるのですが、この時期こそ実は注意が必要です。
人間の生理と違い、犬は排卵の前の段階で生理の出血が始まる動物。出血が落ち着き、生理が終わったように見えるこのタイミングは、一番妊娠しやすいタイミングなのです。

この期間は、普段はオス犬に嫌悪感を示すメス犬が、オスに対して寛容になったり好意を示したりします。また、オス犬もメス犬のフェロモンを感じ取って、近づいて来やすくなります。散歩の注意点でもご説明したように、望まない妊娠を防ぐために、十分気をつける必要があります。

愛犬のため…避妊手術も選択肢のひとつ

生理がはじまる前の避妊手術を検討している犬

もし飼い犬に子供を産ませることを考えていないなら、避妊手術を視野に入れても良いでしょう。避妊手術とは、メス犬の卵巣のみ、もしくは卵巣と子宮を摘出することで、妊娠しない体にするための手術です。

避妊手術をすると、当然、生理は起こらなくなります。
生理による精神的、身体的ストレスを軽減することができるほか、愛犬が望まない妊娠を防ぐこともできるようになります。さらに、「子宮蓄膿症」「卵巣腫瘍」などのメス特有の病気を予防できます。

ただし、避妊手術をすると、食欲が増して肥満になりやすくなるケースもあります。また、時に尿失禁を起こしやすくなる犬もいます。

これらのことを踏まえ、愛犬のためのベストな方法を、獣医師や家族と話し合ってみると良いでしょう。

※犬の避妊手術については、こちらの記事でご紹介しています。
【獣医師監修】避妊手術の時期、「若いうちに」って、具体的にはいつ?

愛犬の生理中は、体調と相談し、マナーを守って散歩を

メス犬の生理は、人間の生理と同じように病気ではありません。過度に心配する必要はありませんが、愛犬が精神的に不安定になったり、また散歩中に思わぬトラブルが起こることもあるため、飼い主がいつも以上に気を遣う必要があります。愛犬のため、また周りに迷惑をかけないためにも、正しい知識を得て適切な対策を取りましょう。

東京大学農学部 獣医学専修を卒業後、大阪の高度獣医二次診療病院に勤務の後、渡米しミシガン州立大学、カリフォルニア大学 ディビス校にて、整形外科・再生医療の研究などに携わる。帰国後は、アメリカでの経験を活かし、川村動物病院の院長として、より良い地域医療の普及に邁進中。

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