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膀胱炎になった犬のためにしてあげたい5つのこと【獣医師監修】

   2018/11/30

犬によくみられる病気のひとつ、膀胱炎。愛犬が頻繁にトイレにいく、血尿をする、などがその症状として代表的なものです。これまでに愛犬が膀胱炎にかかったことがある、という方も多いのではないでしょうか。膀胱炎は再発しやすい病気です。膀胱炎になってしまった愛犬が早くよくなるため、また、膀胱炎を再発をさせないために飼い主さんができることをまとめました。

まずは犬の膀胱炎について知っておこう

犬の膀胱炎の原因は?

膀胱炎になった犬

「膀胱炎」は、その名の通り、おしっこを貯める役割をする膀胱で炎症が起きる病気です。
犬の膀胱炎の原因の多くは、細菌感染、結石、そしてこれらが複合したものです。

健康な状態の犬であれば、

  • 尿そのものに抗菌作用がある
  • 排尿して膀胱を空っぽにすることで膀胱内の細菌を体外に出すことができる
  • 尿道や膀胱の構造に細菌の侵入を防ぐ機能がある

といった理由から、膀胱内で細菌感染を起こすことはありません。

しかし、

  • 排尿回数が減る
  • 排泄する尿量が減る
  • ストレスから免疫力が低下する
  • 膀胱の構造に異常があり完全に排尿できない
  • 免疫力が低下するような基礎疾患がある

といったことがあると、膀胱内で細菌が増殖していき、やがて細菌感染を起こし、膀胱炎となるのです。

また、尿の成分であるミネラルなどがかたまって石のようになる「結石」が膀胱炎を引き起こしたり、膀胱炎が長引くことで結石ができ膀胱炎を長引かせたりするケースも。そのほかにも、膀胱に腫瘍ができることによって膀胱炎が起こるケースや、はっきり原因のわからない膀胱炎といったケースもあります。

膀胱炎になりやすいのは?

膀胱炎にかかりやすいメスの犬

尿道が太くて短いメスの犬は、体の外から入った細菌が膀胱に到達することで膀胱の細菌感染による膀胱炎になりやすい傾向があります。

また、気温の下がる秋~冬の時期は、水を飲む量が減り、トイレの回数が減ったり、寒さで抵抗力が落ちたりすることから、膀胱炎を起こしやすくなる傾向があります。

膀胱炎の症状は?

  • 排尿時に痛みがあり、外陰部をなめる
  • 何度もトイレに行こうとする
  • 頻繁におしっこの姿勢をとる
  • ピンク色や赤色の尿、濁った尿が出ている
  • 尿のにおいがいつもと違う
  • 排尿しおわったはずなのに、またポタポタと尿が出ることがある

「トイレはきちんとマスターできているはずなのに、急にあちこちで、ちょっとずつおしっこをするようになった」という時も要注意!膀胱炎を起こすと頻尿になるので、トイレ以外の場所で排泄してしまうことがよくあります。

※犬の血尿についてはこちらの記事でご紹介しています。
犬が血尿したかも…色や観察のポイントは?緊急性の判断や原因は?【獣医師監修】

膀胱炎の診断は?

膀胱炎の診断のために病院に行く犬

膀胱炎そのものは、尿検査を行い、尿の中の炎症細胞を確認することで診断します。
さらに、細菌の有無や腫瘍細胞の有無を確認したり、その他の検査を組み合わせたりすることで、膀胱炎を起こしている原因をつきとめていきます。

そのほか、難治性の膀胱炎や再発を繰り返す膀胱炎の場合には、超音波検査やX線検査、血液検査といった全身的な精密検査が必要となります。

膀胱炎の治療は?

膀胱炎を起こしている原因によって様々です。
もっともよく見られる細菌感染による膀胱炎の場合は、適切な抗生物質を一定期間使用する必要があります。また、結石が存在する場合には、結石に対する治療も同時に行います。結石の治療は結石の種類によって異なります。膀胱炎治療と食事療法で改善するケースもあれば、手術が必要になるケースもあります。

膀胱炎になった愛犬のためにしてあげたい5つのこと

犬の膀胱炎についてわかったら、ぜひ、次の5つのことを実践してあげてください。

①膀胱炎治療のための投薬は、必ず獣医師の指示どおりに

犬の膀胱炎の治療のためのお薬

膀胱炎の治療でとても大事なことは、勝手にお薬をやめないことです。はじめて細菌性の膀胱炎になった犬の多くは、適切な治療を開始するとみるみる症状が改善していきます。
それでも、必ず獣医師が指示したとおりの期間、投薬を続けるようにしてください。

よくなったように見えるからといって自己判断でお薬をやめると、すぐにまた膀胱炎が再発したり、完治までの期間が長引いたりしやすくなります。必ず指示通りにお薬を飲み切って、経過観察を受けるようにしてください。

②【膀胱炎が治ってからも】トイレはいつも清潔に

好きなときにいつでもトイレでおしっこができるようにしておきましょう。排尿を我慢することも膀胱炎を起こしやすくする原因のひとつです。膀胱炎の治療中はもちろん、治療が終了したあとも、トイレはいつも清潔にしておきましょう。

③【膀胱炎が治ってからも】意識して水を飲ませよう

膀胱炎の治療として大事な飲水をする犬

尿量を増やして、しっかりと排泄させることが膀胱炎対策としてとても大切です。
とくに冬場は飲水量が減りがちです。あまり水を飲んでいないかな、と思ったら、フードにぬるま湯をかけるなどして、意識して水分をとらせてあげてください!(火傷にはくれぐれもご注意を。)

④【膀胱炎が治ってからも】外陰部周囲の清潔を保ちましょう

特にメス犬では、尿道の距離が短く、外陰部に付着した細菌が膀胱へ到達することによる膀胱炎のリスクが高いとされています。
外陰部周辺の被毛が多いなどで、いつも尿が付着している状態では細菌の温床となってしまいがち。被毛に尿が付着したままにしておくことは外陰部周囲の皮膚炎の原因にもなりますので、外陰部周辺の被毛はカットしておき、排尿後は付着した尿を拭いてあげるなどして、おしりまわりの清潔を保つようにしてください。

⑤膀胱炎と思われる症状が再発したらすぐ病院へ

膀胱炎は、通常、元気や食欲がなくなったり発熱したりすることはあまりありません。そのため、膀胱炎の症状がみられているのに、「急がなくても大丈夫かな」などと病院を受診するのが先送りにされてしまうケースが目立ちます。
でも、排尿痛や頻尿がある状態というのは、当然犬にとってもつらいものです。また、たかが膀胱炎…などと軽く見ていたら、治療に非常に時間がかかってしまう状態となることもあります。そして、時には膀胱炎を起こすような他の深刻な病気が隠れていたりすることもあります。

頻尿のためいつもはしない外でおしっこをしてしまい膀胱炎が疑われる犬

愛犬が一度膀胱炎になったことのある飼い主さんなら、愛犬の排尿の様子に敏感になれるはずです。いつもと様子が違うなど、気になる症状が見られたら、できるだけ早く動物病院を受診することをおすすめします。
もちろん、前回のお薬が余っているから…などと自己判断で投薬することもやめましょう。

また、何度もおしっこの姿勢をとるのに尿が出ない時は、緊急処置が必要な病気の可能性があります。大至急動物病院を受診してください。

愛犬の膀胱炎を甘く見ず、必ず動物病院へ

おしっこの様子がいつもと違う以外は元気だし食欲もあるし…と、甘くみられてしまいがちな膀胱炎ですが、排尿痛や頻尿は犬にとってもつらいもの。放っておくと治療に相当な時間がかかってしまったり、病気が悪化して重篤な状態に陥ってしまったりといった場合もあります。また、膀胱炎だけかと思っていたら実は糖尿病や腫瘍などの大きな病気が隠れていた…といったケースもあります。馴染みのある病気だからと油断せず、必ずかかりつけの獣医師に相談し、きちんと治療を進めていくようにしてくださいね。

東京大学農学部 獣医学専修を卒業後、大阪の高度獣医二次診療病院に勤務の後、渡米しミシガン州立大学、カリフォルニア大学 ディビス校にて、整形外科・再生医療の研究などに携わる。帰国後は、アメリカでの経験を活かし、川村動物病院の院長として、より良い地域医療の普及に邁進中。

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