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犬が血尿したかも…色や観察のポイントは?緊急性の判断や原因は?【獣医師監修】

   2018/10/17

「愛犬の尿の色がいつもと違う、血尿かもしれない」そんな時は、まずは落ち着いて愛犬の様子を観察してください。血尿をはじめとした異常な色の尿は、体で何か問題が起こっているサインです。決して放置してはいけません。必ず動物病院を受診してきちんと診断、治療をしてもらう必要があるのです。時には極めて緊急性が高く、救急処置が必要な病気であることもありますので、まずはしっかり愛犬の様子を観察し、適切な対応をとってあげてください。今回は犬が血尿しているかもしれない時にチェックするべき項目と、病院受診のタイミングについてご紹介します。

赤だけじゃない!犬が「血尿っぽい尿」をしたら病院へ

血尿をしている犬

血尿のように見えるおしっこの色は、実に様々です。実際には見るからに「血」とわかるような赤色のものだけでないのです。

  • 赤ワインのような色
  • しょうゆのような茶色っぽい褐色の色
  • オレンジ色
  • 非常に濃い黄色

こういった場合もやはり異常な尿であり、受診の必要があります。尿の色調の確認は、排泄したあとのペットシーツや床(地面)、排尿後、犬の外陰部に白いティッシュを押し当てるなどして尿をティッシュに吸わせることでも可能です。排尿の様子がいつもと異なるなど、犬の尿に異常を感じたら、一度尿の色を確認してみることをおすすめします。

このような異常な色の尿が「血尿」に見えるのは、尿に赤っぽい色素を含んだ物質が存在するためです。これらの尿は厳密には必ずしも「血尿」ではなく、「血色素尿(ヘモグロビン尿)」と呼ばれる尿や、「ビリルビン尿」と呼ばれる尿であったりし、それぞれ原因となる病気が異なります。しかし、いずれにしても、「血尿かも…」と感じるような、「いつもと異なる色の尿」が出ている時には、動物病院を受診する必要があると考えましょう。

「血尿かも…」そんな時の観察のポイントは?

犬の血尿をチェックするためのペットシーツ

「血尿かもしない…」と思うような色の尿が出たら、必ず動物病院を受診する必要があります。ただし、その中でも、命の危険があり、たとえ夜間でも大至急動物病院を受診するべきケースと、急がなくてもよい(可能な限り早いタイミングで受診すべき)ケースとがあります。まずは愛犬の様子をしっかり観察して、緊急受診が必要かどうかを判断しなくてはなりません。判断に迷うときは、動物病院に連絡を取り、状況を伝えたうえで指示を仰ぎましょう。

犬が血尿しているかもしれない時の観察のポイント

  • 尿のしかた(尿をしている時の犬の様子)
  • 尿の量
  • 犬に元気や食欲があるかどうか
  • 血尿以外の症状がないかどうか

犬が血尿している時によく見られる症状のひとつが「頻尿」。排尿しようとりきんでいるのに尿がちょろっとしか出ない、さっきおしっこをしたのにまたトイレに行っている、そういった症状がないかをよく見てください。また、それまでトイレでの排泄ができていたのに、急にトイレ以外の場所で何度も排泄するようになった、などという時も、頻尿になっている可能性があります。
また、尿の量、特に尿量が急に減っていないか、も非常に大切なポイント。そのほか、犬に元気、食欲があるかといった一般的な健康状態や、嘔吐や発熱などの血尿以外の症状がないかにも気を付けておきましょう。

※犬の体温についてはこちらの記事をご覧ください。
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「血尿かも…」こんな時は大至急動物病院へ!

  • おしっこをしようとしているがほとんど出ない、出ても「ポタポタ」程度しかでない
  • 苦しそうにしている
  • ぐったりしている
  • 発熱している
  • 歯茎や舌の色が薄い、黄色い

血尿をしていて元気がない犬

おしっこがきちんと出ていない可能性がある時には、結石や腫瘍などにより「尿道閉塞」の状態になっている可能性があります。尿が出ない状態を放置しておくと、体内に毒素が溜まり、数時間ほどの間に重篤な状態へと症状が進行してしまうことも。大至急動物病院を受診してください。

また、血尿をしている犬の歯茎や舌といった粘膜の色がいつもよより薄い、白っぽい色をしている時には、なんらかの原因で重度の貧血が起こっていることも考えられます。腎臓などの泌尿器での出血のほか、「玉ねぎ中毒」や「免疫の異常などによる赤血球の破壊」など、貧血の原因はいくつか考えられますが、いずれにしても急激な貧血の進行は命に関わります。速やかに動物病院を受診して処置をうけなくてはいけない状況だといえるでしょう。また、粘膜の色が黄色っぽいときには、「黄疸」と呼ばれる状態になっている可能性があり、こちらも早急な受診が必要な状態です。

犬の血尿の原因のひとつの玉ねぎ

そのほか、血尿をしている犬が発熱も起こしている場合には、体のどこかで強い炎症が起こっている可能性があります。一気に状態が悪化していくケースもありますので、ためらうことなく動物病院を受診してください。

また、血尿している犬がぐったりしていたり、苦しそうにしたりしている場合も大至急動物病院へ。原因はさまざま考えられますが、体に非常に大きな負荷がかかっている状態。短時間で病状が悪化してしまうことも起こりえます。

【避妊をしていないメスの犬】の場合も大至急動物病院へ!

愛犬が避妊をしていないメスで、トイレをはじめ、いろいろな場所にポタポタ血尿のようなものがついている、外陰部から血の混じったものが出ている…そんな時には大至急動物病院を受診してください。

これは、「血尿」だと思っていたものが、実は「血の混ざったおりもの」である場合があるからです。
避妊をしていないメス犬に起こる可能性のある「子宮蓄膿症」は、子宮に膿が溜まる病気。この子宮蓄膿症を起こした犬では、外陰部から「血と膿のまざったおりもの」が出ることがあるのです。
子宮蓄膿症は、命に関わることも多い、きわめて緊急性の高い病気のひとつです。
時間とともにどんどん状態が悪化していくケースもありますので、発情出血と無関係な時期の避妊をしていないメス犬の外陰部から、血液の混ざったものが出ている場合には速やかに動物病院を受診して、診断、治療を受けるようにしてください。

「血尿かも…」こんな時は、早めに動物病院へ!

血尿をしているけれど元気な犬

  • 頻尿ではあるが、排尿はスムーズで、きちんと排尿できている
  • 元気や食欲がある

こういった状況の時には、緊急性が特別に高いわけではありません。しかし、膀胱炎をはじめ、犬の体で何らかの異常が起こっていることには違いなく、受診が不要ということでは決してありません。
治療の開始が遅れることで、治るまでにかかる時間が長くなることも多々ありますので、必ずできるだけ早いタイミングで動物病院を受診してください。
また、様子を見ているうちに状態が変化することもあります。そのような場合にはためらうことなく動物病院を受診してください。

血尿かも?と思ったら、必ず愛犬と動物病院へ

血尿かも、と思ったら、落ち着いて愛犬の様子を観察し、状態によっては救急病院へ。緊急性が高くなさそうだと思っても、放置は厳禁。必ずできるだけ早いタイミングで動物病院を受診してください。そんな時、採取した尿を持参できると、診断の助けになることがあります。犬の採尿には、きれいに洗って乾燥させた食品トレイなどをすっと差し込んで尿をキャッチする・裏返してビニール面を上にしたペットシーツでの排泄を試みる、といった方法があります。ただし、採尿しようとする飼い主さんに邪魔されて、うまくおしっこできない、といったことのないように。採尿が難しければ無理はしなくて大丈夫。尿の写真だけも参考になりますので、「気になるおしっこをしたけれど、採れなかった…」という時には、写真を撮影しておいて、診察時に獣医師に見せるようにしてみてくださいね。血尿は重篤な病気、治療に長い時間が必要となる病気のサインであることも少なくありません。早くよくなるためにも、必ず動物病院を受診してください。

東京大学農学部 獣医学専修を卒業後、大阪の高度獣医二次診療病院に勤務の後、渡米しミシガン州立大学、カリフォルニア大学 ディビス校にて、整形外科・再生医療の研究などに携わる。帰国後は、アメリカでの経験を活かし、川村動物病院の院長として、より良い地域医療の普及に邁進中。

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