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子犬が咳をする…受診のタイミング・観察やケアのポイントのまとめ【獣医師監修】

   2018/09/28

咳はのどや気管、気管支、肺などの気道内で何らかの刺激が起こっているサインです。これは人間だけでなく、成犬であっても、もちろん子犬であっても同じこと。犬の咳には、「ケッケッ」「ケフッケフッ」「カッカッ」といった音や「ゼーゼー」「ガーガー」といった音など、様々な種類がありますが、どんな咳であったとしても気道で何かの刺激を受けたことに対する防御反応が「咳」として現れるのです。人と同じで、子犬の場合も冷たい空気をヒュッと吸い込んだ時の刺激のように一時的な咳で特に治療を必要としないケースもありますが、時には非常に深刻な病気が原因となっている咳もあります。今回は、子犬が咳をする時の、受診の判断や観察のポイントについて紹介します。

子犬が咳をしている…受診のタイミングは?

咳をして動物病院へ行く子犬

子犬が咳をしている…こんな時は大至急病院へ!

子犬が咳をしているほかに次のような症状がみられる場合には、命に関わる事態である可能性があります。夜間であっても、すぐに動物病院へ連絡を取り、可能な限り速やかに動物病院を受診してください。

  • 呼吸困難を起こしている
    ※子犬が横になることができずに、ずっと「おすわり」の姿勢で荒い呼吸をしているときも、呼吸困難を起こして非常に呼吸が苦しい状態である可能性があります。
  • ぐったりしている
  • 舌の色が紫色や青紫色をしている、または極端にうすいピンク色をしている
  • 意識がもうろうとしている
  • 口をあけて荒い呼吸をし続ける

子犬が咳をしている…できるだけ早く病院へ!

子犬が咳をしている時に、次のような症状が見られる場合には、できるだけ早く治療を受ける必要があります。必ず動物病院を受診しましょう。特に子犬の様子が悪化していると感じるようならば、ためらうことなく動物病院を受診してください。

  • 咳が頻繁にでる
  • 咳が何日も続いている
  • 咳だけでなく、鼻水が出たりくしゃみをしたりする
  • 熱がある
  • 嘔吐や下痢をしている
  • 咳をして眠れていない

咳で動物病院に来た子犬

子犬の咳、様子を見てもOKなのはこんな時

子犬の咳には、生理的な、つまり病気ではない咳の場合もあります。子犬が咳をしていても、次のような様子であれば、ひとまず様子をみてもOKでしょう。
ただし、ちょっとしたことで容体がかわりやすいのが子犬です。子犬の咳に気づいたときには、咳以外の症状についてもいつもよりしっかりと観察するようにしてください。
少しでも気になる症状があれば、動物病院に相談しましょう。

  • 1回限りの咳
  • 咳をしたあとはケロッとして元気に遊んでいる

子犬が咳をするときの観察のポイント

咳をしているため様子を見ている子犬

子犬が咳をしている時に、観察しておきたいポイントをご紹介します。これは、動物病院を受診した際、的確な診断と治療のために有用な情報となります。子犬の様子をよく観察し、メモをしておくなどして、きちんと伝えられるようにしておきましょう。

  • 咳をする時間帯
    朝?夜?一日中?
  • 咳をするタイミング
    運動後?子犬が興奮したとき?安静にしている時?
  • 咳のしかた
    発作的な咳か?繰り返し咳をするのか?1回だけ?
    ※咳をしている子犬の動画が撮影できたら撮影しておいてもよいでしょう。
  • 咳の他の症状
    熱はないか?呼吸は苦しそうでないか?痰や鼻汁はないか?下痢や嘔吐はないか?食欲はあるか?など

子犬が咳をしているとき、受診までのケアのポイント

咳をして体調の悪い子犬

ここでは、子犬が咳をしているときに、動物病院を受診するまで、自宅にいる間のケアのポイントをご紹介します。大切なのはできるだけ咳を誘発しないように、また、楽に呼吸ができるような環境を整えてあげることです。

  • 安静にし、興奮させないようにする
  • 室内の環境を整える
    ※喫煙や臭いの強い香水といった呼吸器への刺激となるものは避けましょう。また、こまめな換気を心がけ、空気が乾燥しないように必要に応じて加湿をしてください。
  • 呼吸が楽になるように、首輪や胴輪ははずす
    ※子犬に服を着せている場合は脱がせるようにしてください。
  • 子犬が楽に呼吸できる姿勢をとらせる

【参考】子犬はどんなときに咳をする?

咳の原因がわかていない子犬

ここからは、咳をしている子犬の飼主さんへの参考として、子犬がどんな時に咳をするかについてご紹介します。ただし、これらは犬に咳を起こす原因の一例です。正確な診断には獣医師による診察が必要ですので、自己判断は禁物です。

  • 気道内に異物を吸引したとき
  • 感染症にかかっているとき
  • のどや気管、気管支、肺などの呼吸器に異常があるとき
  • 心臓の疾患があるとき

子犬の咳で要注意!ケンネルコフって?

子犬に咳を起こす病気として有名なものに「ケンネルコフ」呼ばれているものがあります。
これは、「犬伝染性気管・気管支炎」と呼ばれる病気の俗称でいわば、犬の風邪。様々な種類のウイルスや細菌などを原因とする犬の呼吸器の感染症がまとめて「ケンネルコフ」と呼ばれています。

ケンネルコフの予防にはワクチン接種が有効です。
ケンネルコフは子犬に限ってかかる病気ではありませんが、通常、ワクチン接種をしっかりしている健康な成犬であれば、あまり重症化することはありません。その一方で、ワクチン接種の完了していない子犬や、シニア犬の場合は、免疫力が不十分なために重症化してしまうことがあるので注意しなくてはならない病気です。

この病気では、気管や気管支、肺で炎症を起こり、激しい咳をするのが特徴的です。多くの場合、食欲はあるままなのですが、微熱が出ることもあります。
適切な治療を受ければ通常は数日で症状は治まることが多いのですが、時に細菌感染を起こして重症化することも。最悪の場合、肺炎で死亡してしまうこともあるため、できるだけ早く治療を開始することが大切です。

咳が長引くケンネルコフの子犬

このケンネルコフは、感染した犬との接触や、咳やくしゃみなどから空気感染することがある、非常に伝染力が強い病気です。そのため、ケンネルコフが疑われるときには、他の犬との接触は避けるようにしなくてはなりません。多頭飼いをしているご家庭では、獣医師の指示にしたがい、ケンネルコフの疑いのある犬を隔離するなどする必要があるでしょう。

子犬の咳、長引かせないためには早めの治療が大切です。

ちょっと興奮しただけ、首輪が刺激になっただけ、など一時的で問題のない咳もある一方、子犬の咳には命にかかわる深刻なものや、治療に長い時間を要してしまうものもあります。また、体が小さく余力の少ない子犬は、ちょっと様子を見ているうちに大きく容体が変化してしまうことも少なくありません。子犬の咳に気づいた時には、できる限り安静にさせ、しっかりと様子を観察するようにしてください。子犬に少しでもつらそうな様子があるならば速やかに動物病院へ。また、咳に限らず、気になることがある場合には、できるだけ早いタイミングで動物病院を受診するようにしてくださいね。

東京大学農学部 獣医学専修を卒業後、大阪の高度獣医二次診療病院に勤務の後、渡米しミシガン州立大学、カリフォルニア大学 ディビス校にて、整形外科・再生医療の研究などに携わる。帰国後は、アメリカでの経験を活かし、川村動物病院の院長として、より良い地域医療の普及に邁進中。

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